カナダの最高裁判所は、iPodや他のMP3プレイヤーの購入者から追加料金を徴収することの可否をめぐる訴訟の審理を行なわないことになった。これにより、いわゆる「iPod税」をめぐる議論に終止符が打たれたが、一方ではファイル交換の合法性をめぐる議論が再燃している。
問題となっているのは、長年施行されている、音楽用メディアにかかる追加料金に関する法律だ。カナダの著作権監督機関であるカナダ著作権委員会(Copyright Board of Canada)はこの法律に基づき、CDやカセットテープなどの空のメディアの購入者から若干の追加料金を徴収し、集めた資金を楽曲が私的にコピーされていることに対する補償として、アーティストやレコード会社に分配している。
同委員会は2003年後半に、iPodやその他のハードディスク搭載プレイヤーが音楽のコピー用としても利用されており、それらの機器に最高25ドルの追加料金を課すと発表した。しかし、控訴裁判所は2004年に著作権委員会のその決断を退け、さらに28日の最高裁判決により、iPodには今後もそのような追加料金が課されないことになった。
しかし、その最高裁判決はカナダのコンピュータユーザーにとって、より大きな意味合いがある。
カナダのレコード業界団体は、今回の最高裁判決について、不正なファイル交換が明確な違法行為であると見なされていることを示す1つの兆候だとして、即座に歓迎の意を表した。
レコード業界がそのように考える理由は、裁判所が下した別の判決にある。その判決の中で判事は、著作権委員会の追加料金徴収システムの存在を引き合いに出し、ファイル交換ネットワークを通じて行なわれているファイル交換は合法と思われる、と述べた。
しかし、iPodかコンピュータかに関わらず、ハードディスクにファイルをコピーする行為に対し、私的コピーに対する追加料金を課せないのであれば、もはやファイル交換は保護されない、とカナダレコード産業協会(CRIA)の幹部は述べている。
CRIAのGraham Henderson会長は声明の中で、「長年、不正なファイル交換の支持者らは、Private Copying Levy(私的利用目的のコピーに対する追加料金徴収制度)の存在を理由に違法なファイル交換を正当化してきた」とし、さらに「しかし、今日最高裁が『そうは問屋が卸さない』と言ってくれた」と語った。
著作権監督機関は、最高裁の判決は遺憾であり、iPodの一般的な利用法の大半が違法となる可能性があると指摘した。
「この(最高裁)判決により、著作権保有者の許可がない限り、録音された音楽をiPodにコピーする行為が違法となるのは明らかだ」と語るのは、非営利団体Canadian Private Copying Collective(CPCC)のディレクター、David Basskinだ。CPCCは、空のメディアにかかる追加料金の徴収/分配を行なっている。
なお、CPCCは2003年12月から2004年12月までの1年間に販売されたiPodや他のデジタルオーディオ機器の売上から徴収した追加料金を返還するとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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