業績と株式分割を好感したHOYAの上値余地はまだあるか

 3月期決算会社の第1四半期(2005年4〜6月)決算が本格化しているが、主力ハイテク企業のトップを切って先週7月20日に決算を発表したHOYAの株価が一段高に買い進まれている。果たして何が起きているのか。

 HOYAは20日の取引時間中の午後1時に第1四半期の決算と、2005年9月30日現在の株主を対象にして従来の1株を4株にする株式分割を実施すると発表したが、その直後から株価が急騰し、同日の株価は一時、前日比1130円高の1万4040円まで買い進まれ、終値は同930円高の1万3840円となる急騰をみせた。

 発表された今3月期の第1四半期連結業績は、売上高817億7700億円(前年同期比9%増)、経常利益274億6500億円(同23%増)、純利益203億8900億円(同26%増)と事前予想を上回る大幅増益決算となった。売上高、利益ともに四半期としては過去最高となった。カメラ付き携帯電話向けレンズの価格下落というマイナス要因を、液晶に回路を転写するための液晶マスク、HDD用ガラス基板のメモリディスクなどの成長が上回ったことが業績好調の背景となっている。

 続く第2四半期も第1四半期と同様に堅調な推移が予想されているが、半面で、第2四半期以降の経営環境については、液晶マスクやメモリディスクの需給が緩む可能性があるとの指摘があることも事実だ。同社では、9月中間期決算をの売上高1630億円(前年同期比6%増)、営業利益490億円(同11%増)としている。

 メリルリンチ日本証券は20日、HOYAの目標株価を1万3500円から1万5000円に引き上げた。投資評価については従来の「買い」を継続。「エレクトロオプティクスが引き続きけん引車として収益を押し上げる。同社は過去3年間の営業利益の平均成長率が25%前後。我々(メリルリンチ日本証券)は2006年3月期の営業利益を13%増から15%増に引き上げたが、その達成は可能であると考えている」としている。

 一方、日興シティグループ証券では、7月21日付でHOYAの目標株価を従来の1万4600円から1万4900円へと引き上げる一方で、投資評価を「1M」(買い/中リスク)から「2M」(中立/中リスク)に引き下げた。決算発表などを踏まえて業績予想、配当予想を見直すも、株価急伸を受けて投資評価を引き下げたというわけだ。さらに、CSFB証券が21日付でHOYAの投資判断を「アウトパフォーム(強気)」から「ニュートラル(中立)」に引き下げた。第1四半期の決算を受け、同証券予想の今・来期1株利益を上方修正するとともに2008年3月期予想を新たに加え、目標株価を1万2900円から1万4200円に引き上げ。ただ、株式分割というポジティブサプライズにより株価は急騰、バリュエーションに割安感がないとして、投資判断については引き下げを決断している。

 HOYAは20日に、1対4の大型株式分割を実施すると発表。もちろん、これを好材視した買いが流入して株価が急騰した面もある。9月30日を割り当て日とし、効力発生は11月15日。分割後発行済み株式総数は約4億4939万株となる。

 第1四半期の好決算と株式分割の発表で、株価は一気に1万4000円まで急上昇したが、この株価水準は連結予想PERでも23倍と決して割高とはいえないレベル。今後中期的には1万6000円台乗せに期待が寄せられる。

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