グーグルの抱えるプライバシーのジレンマ

Elinor Mills(CNET News.com)2005年07月20日 18時24分
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 Google CEOのEric Schmidtは、自分のホームページにそれほどたくさんの情報を載せていない。

 しかし、Googleのサーチエンジンで30分も検索してみれば、今年50歳になるSchmidtが2004年末の時点で推定15億ドルの資産を保有していたことや、2005年に入ってGoogle株を売却し9000万ドル弱を手に入れたこと、さらにはこの2カ月のあいだに行った別の株式売却で少なくとも5000万ドルを稼いだことなどが分かる。

 Schmidtと妻のWendyは、カリフォルニア州のアサートンという富裕層が居住する街で暮らしている。この街では5年前にAl Gore大統領候補の資金集めのパーティが開かれ--支持者は1人あたり1万ドルを支払ってこのパーティに参加した--、Goreと妻のTipperがElton Johnの歌う「Bennie and the Jets」にあわせてダンスを踊ってみせた。

 Schmidtはまた、ネバダ州の砂漠のなかで開かれるアートフェスティバル「Burning Man」を観るためにクルマを飛ばしたこともあるし、熱心なアマチュアパイロットでもある。

 これほど詳しい個人情報が、一般のウェブサイトで手に入ると聞くと、ほとんどの人間は落ち着かない気持ちになってしまう。しかし、Googleが収集しながら公開していない情報と比べれば、この程度の情報は取るに足らないものに思えてくる。

 Schmidt自身がGoogleのサービスを利用していると仮定しよう。その場合、Googleのデータベースにアクセスできる人間なら、同氏が書いた電子メールの中身や宛先、ネットショッピングの利用履歴、さらにはオンラインマップから探し当てたレストランまでをも見つけ出すことができる。Googleの他のユーザーの場合と同じく、Schmidtのオンラインでの暮らしぶりはこのデータベースに細かく記録されている。

 こうした情報は、当然のことながら、ハッカーやあまりに仕事熱心な政府の捜査官、あるいは会社の倫理規定を守らないGoogle従業員などに悪用されるおそれがある。Googleが非常に魅力的な個人情報を集めていることを心配する者もおり、同社にはこうした情報を守る義務があるとする者もいる。

 プライバシー擁護者らは、YahooやMicrosoftのMSN、Amazon.comのA9、さらに他の検索エンジンやEコマース企業にも同様のリスクがあると述べている。これらの企業の多くはGoogleのビジネスプランを模倣しており、なかには自社の集めるデータについてそれほど注意を払っていないところもある。しかし、米国の検索市場で50%を超えるシェア(WebSideStoryの最新データ)を握るGoogleは、インターネットコミュニティへの影響力も他社とは比べものにならない程大きいことから、プライバシー上の懸念に関する格好の攻撃対象になっている。

 「Googleは、ユーザーのプライバシー侵害に関する潜在力の大きさで、Microsoftを凌ぐ存在になりつつある。だが、多くのユーザーはGoogleのブランドに多大な信頼を寄せていることから、その危険性をなかなか理解できずにいる」と、Electronic Privacy Information CenterのChris Hoofnagleは言う。「しかし、一歩後ろに下がって、同社の提供する製品やその使い方を眺めてみれば、Googleが各ユーザーのネット上での行動を示す、非常に多くの個人情報を集めるられることがわかる。電子メールや検索履歴の保存機能、画像、ソーシャルネットワークサイトの『Orkut』から集めた個人情報など、Googleには実にさまざまな情報が集まっており、これがユーザープライバシーに対する大きな脅威となっている」(Hoofnagle)

 Electronic Frontier Foundationのスタッフである弁護士のKevin Bankstonは、Googleが集めているデータを使えば、これまでで最も詳細な個人のプロファイルをつくり出せると述べている。

 「ユーザーの検索履歴を調べれば、どんな団体に属しているか、どんな宗教を信じているか、さらにはどんな病気やけがをしたことがあるかまでわかる。Googleで見つかる情報が、その人の人格を定義する」(Bankston)

Googleのプライバシー保護に関する実績

 検索エンジン企業ではよくあることだが、Googleでも検索に使われた言葉や、ウェブサイトのアクセス履歴、IPアドレス、ブラウザの種類など、同社のウェブサイトで行われた検索について逐一記録したログファイルを保存している。

 さらに、各検索エンジンでは個人の身元が特定できる情報を収集し、特定サービスの提供に役立てている。たとえば、Gmailでは登録時にユーザーの氏名と電子メールアドレスを尋ねている。それに対し、Yahooの登録手続きでは住所、電話番号、誕生日、性別、職業を入力するようになっており、金融サービスを受ける場合には自宅の住所や社会保証番号まで求められることがある。

 ユーザーの検索履歴や電子メールアドレスに、登録された情報を組み合わせれば、その人の健康状態や性生活、信仰する宗教、財務状況、買い物の好みなど、非常に詳しい情報を得られることになる。

 「これらのデータは、実質的にユーザーの頭のなかで起こっていることを写したプリントアウトに例えられる。それを見れば、ユーザーがある買い物について何を考えているか、誰と何を話したか、といった事柄が一目でわかってしまう」とBankstonは言う。「これだけ大量の個人情報が集められるのはこれまでになかったことである。しかも、こうした情報の扱い方はGoogleのような第三者の判断に任されている」(Bankston)

 Googleは、このログ情報を使ってトラフィックを分析し、検索結果を不正に操作しようとする試みの防止や、DoS(サービス拒否)攻撃の阻止、検索サービスの強化に役立てていると、同社の副顧問弁護士であるNicole Wongは述べている。

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