Ryanという13才になる少年は、2年前、ほぼ毎晩2〜3時間はクラスメートとインスタントメッセージングに興じていた。そして、ある行動パターンに気づいた。「それに気づいて、ひどい気分になった」(Ryan)
Ryanによると、子供たちは毎晩長い時間、互いにオンラインで罵倒しあっていたという。
「真剣に怒り始めるのだが、理由が理解できないことも何度かあった」とこのマンハッタンに住むティーンエイジャーはいう。「自分の居ないところで交わされている会話に警戒心を持つようになった。IMを中断して部屋の中をうろうろしても、IMのことが頭から離れない。あの感覚は最悪だった」(Ryan)
Ryanは、こうした経験に大きな不安を抱き、ほぼ2年前からIMの使用を避けるようになり、今はたまにしか使っていない。そして、このRyanと同じような子供がかなり多く存在する。
英国の児童慈善団体NCHにが先ごろ実施した調査によると、5人に1人の子供が携帯電話やコンピュータを使ったいじめを経験したことがあるという。なかでも、テキストメッセージによるいじめが最も一般的で、インタビューを受けた子供の14%が気分を害するメッセージを携帯電話で受信したことがあると答えている。その中身は、当惑する程度のものから、あからさまに恐怖心を与えるようなものまで多種多様だった。
「『ウドの大木、デブ、臭い、嫌われ者』といったものから、『おまえの家がどこか知ってるぞ。放火するから焼け死ね』といったものまである」と、NCH(旧National Children's Home)の子供技術部門の責任者であるJohn Carrは述べている。
Carrは、携帯電話を使ったいじめを特に懸念しているという。The Yankee Groupの携帯機器市場担当アナリストLinda Barrabeeの推定によると、最近では13〜17歳の子供の約55%が携帯電話を持っているという。多くの子供にとって、携帯電話は完全に自分の分身になっているのだ。
「携帯電話は子供にとって貴重な財産の1つだ」とCarr。「これは彼らの空間であり、彼らが自分でコントロールできるものだ。そのため、携帯電話で何か問題が生じると、子供たちは特に傷つきやすい」(Carr)
これはデジタルライフスタイルの負の側面かもしれない。つまり、電話機やゲーム機などのガジェットを通じて両親や友人と絶え間なくコミュニケーションをとる子供は、望んでいないないコミュニケーションに遭遇する危険性にもされされている。その上、他人の前でばかにされるという昔からの屈辱の形態が、これからは携帯電話やウェブサイト上で生き残っていく。
「もはや安全な場所などない。昔より悪質で陰湿になっている」(Carr)
「Putting U in the Picture(全貌解明)」というタイトルのNCHの調査には、11〜19歳の子供770人の意見がまとめられている。これらの回答者のうち、10人に1人はカメラ付携帯電話で不快感や恥ずかしさ、脅迫感を感じる写真を撮られたことがあるという。また、そのなかの17%は画像が他人に転送されたはずだと答えている。
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