米最高裁が27日に下した判決は、ファイル交換企業に打撃を与えたかもしれない。だが、この判決によってオンライン上での違法なファイル交換がすぐに減少することはなさそうだと、業界の専門家は述べている。
最高裁はこの判決のなかで、GroksterやStreamCast Networksなどのファイル交換サービス企業に対し、著作権侵害を技術的に可能にしたことに関して責任を負うべきだとの見解を示した。
この判決は、Groksterなどのファイル交換サービス企業の先行きに不安をもたらしたが、しかしファイル交換自体は、これまでずっと法的な攻撃を受けながらも盛んに行われてきていた行為であり、とくに活力を失うことはないと観測筋は述べている。PtoPネットワークは現在世界中で800万人を超える人々に同時に利用されているが、その基盤となるソフトウェアは特定の営利企業がなくても機能し、進化を遂げるように設計されているためだ。
「ファイル交換ネットワークには中心がない」とStreamcast Networksの代理人を務める電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:EFF)の弁護士、Wendy Seltzerは言う。「あるホームベースに接続する必要もないし、どこかから製品のアップデートをとってくる必要もない。現在使われている技術は今後も機能し、完全に分散した形で動作し続けることが可能だ」(Seltzer)
ファイル交換がどれほど根強いものであるかは、Napsterを見れば分かるだろう、とSeltzerは言う。最高裁は2001年、PtoPの先駆けであったNapsterを閉鎖に追い込んだ。Napsterのコンピュータがネットワークの中央にあったためだ。だが、多くが個人ベースで活動している他のソフトウェア開発者はすぐに次世代のソフトウェアを開発した。これはいまや、さらに高度になり、これまで以上によく使われるようになっている。
その結果、違法なファイル交換はここ数年で急増した。Nielsen/NetRatingsの調査子会社、BigChampagneによると、米国では、主要なPtoPネットワーク網でメディアを交換するユーザーの数は、2003年の300万人から今年600万人に倍増しているという。同社CEOのEric Garlandによると、ユーザーの多くは、違法なMP3音楽ファイルを共有しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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