徹頭徹尾コンピュータサイエンス
Googleは2001年に、当時苦境に陥っていたソフトウェアメーカーのNovellからCEOのEric Schmidtを引き抜き、自社の経営者に据えた。しかし、株式公開申請時に提出した目論見書にある通り、Googleはトロイカ体制で運営されており、Schmidtは書類の上では上司となっているが、実際は2人の創業者と権限を共有していると、業界関係者は述べている。
Googleには25億ドルの軍資金がある。同社には、従業員にさまざまざ新サービスを試させて、どれがうまくいくかを見るだけの余裕がある。しかし、同社の批判的な人々は、同社に技術革新を管理するための効率的なプロセスがあるかどうかを疑問視する。たとえば、無償の電子メールサービス「Gmail」は、開始から1年以上が経ったいまでもベータテストの状態を続けている。
「Googleは西部開拓時代のような状態だ。たくさんの資金があり、体制を軽蔑する気持ちもたくさんある」と匿名希望のある業界筋は述べている。
Googleは、大金を投じて企業を買収したことがない。同社が買収するのは、誰も予想しないような成長市場の新興企業の場合が多い。Stanfordの研究プロジェクトから生まれたKaltix、広告技術企業のApplied Semantics、そしてブログ用ソフトウェアメーカーのPyra Labsも、すべてこのタイプにあてはまる。
Googleが最も頼りにするのは同社のエンジニアだ。同社の研究開発予算は、2005年第1四半期だけで約8000万ドルと、前年同期の2倍に達している。さらに、同社は引き続き米国でも有数の人材を集め続けており、そのなかにはMicrosoftとBEA Systemsでプログラミングの第1人者だったAdam Bosworthのような人物も含まれている。なお、Yahooは製品開発費として同時期に約1億1900万ドルの予算を投じている。
「Googleには退屈しているエンジニアなどひとりもいない。わが社には親しみやすい仲間がおり、魅力溢れるプロジェクトがある。そして、膨大な数の人々の生活を日々向上させる機会がある」と同社のウェブサイトには書かれている。
Googleの幹部らは、自社の優位性を保つために、この先も技術革新を生み出し続ける必要があることを十分認識しているように見える。同社が独自のブラウザを発表すると多くの人々が考えており、またシンクライアント用のオペレーティングシステムが登場する可能性もある。そうなったら、GoogleにとってMicrosoftが手強い競争相手になるのは間違いない。また、Googleはビデオコンテンツ取引用の決済システムも開発している。これは、同社の従来のビジネスから大きく逸脱したものだ。
さて、どちらが勝つか
売上規模ではGoogleが勝るものの、広告主との関係という点ではYahooのほうが有利な立場にあるようだ。ドットコムバブルがはじけた後、Yahooはそれまでの態度を改め、前よりも地に足のついた実利につながる提案を広告主に行った。広告業界でのキャリアが長いWenda Millardの指示の下、Yahooのセールスチームは現在、従来からの提携先に的を絞っており、広告代理店との関係も重視している。同社はまた社内にテレマーケティンググループを抱え、規模の小さな広告代理店や企業に対する売り込みも行っている。
対照的に、Googleは顧客との関係よりも自社の技術に頼った3行広告を利用するアプローチを採っている。
「Yahooには大規模なブランド広告ビジネスがある。Googleには検索関連のビジネスしかない。企業がインターネットでブランド広告を展開したいと考えている現状では、Yahooのほうが分が良いといえる」と述べるのはAmerican Technology Researchの財務アナリストRob Sandersonだ。
「Yahooは毎日顧客の機嫌をうかがっている。彼らは顧客の戦略パートナーになりたいと考えている」と、インタラクティブ広告を扱う代理店Isobarの社長であるSarah Feyは指摘している。
財務アナリストや業界観測筋は、インターネット上には両社が共存する余地があると述べる。しかし彼らは、Googleもこの先、かつてYahooが経験したような困難な状況に直面するのではないかと心配している。
「Googleがいずれ壁に突き当たること、しかも相当派手に激突することは間違いないと私は信じている。その時同社が何をするかという点こそ、本当に重要な問題だ」(Moore)
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