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刻々と変容する検索エンジンマーケティングのビジネスチャンス - (page 2)

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SEMがもっとも注目するローカルサーチ

 SEM業界でいま、もっとも注目を集めているのはローカルサーチである。すでに英語圏では、Yahoo! LocalやGoogle Mapsなどが登場している。Yahoo! Localは、YST(Yahoo! Search Technology)と地域電話帳のYahoo! Yellow Pages、それに地図サービスのYahoo! Mapsを組み合わせ、さらにサードパーティーのコンテンツとも連携させたサービスで、Yahoo! Yellow Pagesが持つ店舗や企業などの所在地情報を地図上で表示できる。また、ユーザーの評価や店舗のカテゴリなどによっても分類する機能があるほか、検索した地域を保存できるパーソナライズ機能も備えている。

 Google Mapsも基本的にはYahoo! Localと同種のサービスだが、地図画面をマウスでドラッグし、自由自在に移動できる驚くべきユーザーインターフェイスを実現している。エッジなテクノロジを誇る同社らしいサービスというべきだろう。またこれら2社以外にも、たとえばAsk Jeevesは地域情報検索サイトのCitysearchやニュースサイトのTopix.netなどと連携し、地域の企業やローカルニュースを集約した地域情報検索機能を発表している。

 これらの新しい検索サービスは、SEMのビジネスを大きく拡大させる可能性をはらんでいる。振り返ってみれば、インターネット上で地図を提供するサービスは従来からすでに存在し、さほど目新しいものではなかった。だが地図サービスの問題点は、回帰的になるが、「地図だけでは使い物にならない」ということだった。目的地の場所や道筋を調べる程度にしか使えないのであれば、地図サービスは大きなビジネスにはなりえない。だがもしこのネットの地図上に、さまざまな知識情報をバインドできたらどうなるだろう?――そうした発想で生まれてきたのが、先に紹介したような検索エンジン各社のローカルサーチサービスだ。

 こうした発想からローカルサーチサービスを見れば、さまざまな可能性があることに気づかされる。たとえば「渋谷 ギリシャ レストラン」というキーフレーズで検索すると、地図上にギリシャレストランが表示されるといった使い方がローカルサーチでは可能になっている。

 たとえばGoogle Mapsの場合、店舗の所在地情報はHTMLの中からGoogleのインデックスが収集しているほか、Yellow Pages(職業別電話帳)などからもデータを集めて、別途インデックスしているようだ(Google Mapsで店舗情報がヒットするのにもかかわらず、URLが表示されない店舗がある。こうした店は、Yellow PagesからGoogleがデータを持ってきているとみられている)。

SEOビジネスのターゲットが変化

 こうした検索エンジンの新たな使い方を、SEM的に見るとどうなるか。まず第一に、これまで検索エンジン業界では顧客として見られていなかったようなレストランやショップなどがSEOビジネスのターゲットとして浮上してくる。今後日本で、検索エンジン各社がどのような形式でローカルサーチを提供し、その所在地情報をどのようにして入手するようになるのか――NTTのタウンページとの連動などがあり得るのかどうかはまだわからないが、これまでネットとの親和性は高くなかったけれども、ロケーションにバインドされるような業態展開を行っているレストランなどが、新たな顧客開拓の手段としてSEOに目を向けるようになる可能性はあるだろう。

 日本の先駆的なSEO企業であるECジャパン取締役の安川洋氏は、「今後は検索エンジンの側もさらに積極的にローカルサーチをビジネス化し、ロケーション・オリエンテッドなキーワード広告のようなビジネスが登場してくる可能性もあると考えている。逆に言えば、きちんとSEOを行わなければ地図にマッピングさえされないという状況も生まれてくるだろうし、こうしたローカルサーチサービスが地域密着ビジネスの形態を大きく変えていく可能性がある」と指摘している。

 Googleは、Google Codeというサイトで各種のプログラムコードやAPIを公開しており、Google Mapsと連携したサードパーティのサービスやアプリケーションも登場してきている。たとえば、「ChicagCrime.Org」というサイトは、警察の犯罪レポートとGoogle Mapsをマッチングさせ、犯罪発生場所をシカゴの地図に重ね合わせて表示できるというものだ。また、不動産情報をGoogle Mapsに表示できる「Housing Maps」というサービスもある。また今後、GPS(全地球測位システム)や無線LAN、携帯電話などと組み合わせ、ユーザーの現在地とローカルサーチを組み合わせたサービスの登場も期待されている。

 「たとえばGPSとGoogle Mapsが組み合わさって、自分の現在地からリアルタイムでコイン駐車場の場所を確認できるようなサービスが登場すれば、検索エンジンマーケティングの市場自体は大きく広がることになる。これまでは駐車場検索は、駐車場企業のサイトから行えたが、Googleのような検索企業はこれらをテイクオーバーし、自社の検索エンジンを使って包括的に情報を提供できるようなシステムの構築を進めることになるだろう」(安川氏)

まだ未開のシンディケーション融合

 冒頭に書いたように、検索エンジンはRSS検索やニュース、アラートなどによって、シンディケーションの融合も進んでいる。こうした分野でのSEMはまだ未開拓の荒野であり、今後ビジネス化が進む可能性もある。

 たとえば、先に紹介したSEO企業のECジャパンは、ブログサービスのドリコムと共同で、今春からブログとアフィリエイトをワンストップで管理できるプログラムを企業向けに提供し始めた。ブログとアフィリエイトの両方をまとめて提供しているサービスは楽天市場など少数しかなく、コミュニティをベースにしたこうしたマーケティング市場が今後成長していく可能性はある。

 とはいえ、こうしたネットのコミュニティをどうマーケティングに取り込んでいくのかという点については、まだ不透明な部分もある。コミュニティはインターネットの中核とでも言うべき存在だが、企業の側がその世論をコントロールできるわけではないからだ。企業が下手にブログに手を出せば、批判の的になるなどして、マーケティング的には大失敗になってしまう危険もある。

 ブログやRSSについては今後、SEMのビジネスとリンクしていく可能性はあるにしても、その形態がどうなっていくのかは、まだこれからさまざまな議論が行われていかなければならないだろう。

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