Hewlett-Packard(HP)によると、将来はマイクロプロセッサがより優れた代替案を必要とすることになるかもしれないという。
HPは、今日の半導体業界でオン/オフの主要回路として使われているトランジスタを置き換える可能性のある、クロスバースイッチ技術に対するもう1つの見方を発表した。
このアイデアは、大幅に強化されたデマルチプレクサーを、クロスバースイッチでできたチップに組み込むというものだ。デマルチプレクサーとは、携帯電話でメインとなるチャネルがダウンしたとき、異なるチャネルを使って通信することを可能にする機器を指す。こうしたチップではまた、今日のプロセッサよりも約50%ほど多いインターコネクトを用いている。インターコネクトとは、プロセッサ上の何百万(もうすぐ何十億単位)にもなるトランジスタ同士を接続する微細な配線のこと。
HPでは、両方のアイデアを採用することで、ナノテク時代に半導体メーカーが直面する集積度に関する大きな問題を、プロセッサ設計者が回避できるようになり、劇的にコストを削減できることになると考えている。簡単にいうと、ひとつのプロセッサ上にあるトランジスタ数が増えると、致命的な問題に突き当たる可能性が高まる。一方、トランジスタのサイズが小さくなると、これらの欠陥を見つけ出すのがますます難しくなり、またその分費用もかかってしまう。
「クロスバー・アーキテクチャを用い、『保険』として50%ほど配線を増やすことで、部品の故障率が高かったとしても、ほぼ完全な歩留まりでナノサイズの電子回路を組み立てることが可能になると考えている」と、HP LabsのQuantum Science Researchでシニアフェロー兼ディレクターを務めるStan Williamsは声明のなかで述べている。
冗長回路の組み込みは、半導体メーカーでよく行われているやり方だ。2001年に、Transmetaが「Crusoe 5800」プロセッサを開発した際、同社は多くの問題に直面したが、その多くは冗長性の欠如が原因だったと、当時多くの人間が語っていた。
HPでは、このコンセプトを大幅に拡張し、クロスバー構造向けにカスタマイズしていこうとしている。クロスバーの一般的でごく普通の構造が、デマルチプレクサーに非常に適していると、HPではコメントしている。
クロスバーの根底にある多くの数学的アイデアは、1950年代にClaude Shannonによって考え出された理論を元にしたものだ。より詳しい解説については、Institute of Physicsが発行している記事に記載されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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