サンフランシスコ発--Mac用ソフトウェアの開発者らは、自分たちのつくるアプリケーションをIntelチップ上で動作させるための書き直し作業を楽しみにはしていない。だが、この乗り換えにはメリットもある。
Appleが当地で開催中のWorldwide Developer Conference(WWDC)に参加した開発者らは、MacへのIntelプロセッサ採用により、Apple Computerがより高速なノートPCを投入できるようになると述べている。また、IntelのチップはIBMのものより安い場合が多いため、Macの価格も下がる可能性が高いという。
「これで、Macに乗り換える障害がかなり取り除かれる」と、NASAでデスクトップ技術チームの主任を務めるJames Richardsonは語っている。
だが同時に、移行作業が何の問題もなく進むようなこともないだろう。現在Macに搭載されているIBMのPowerPCチップと、Intelのチップとはアーキテクチャが完全に異なるため、既存のソフトウェアを新しいコンピュータ上で動かすには全く新しいバージョンをリリースする必要がある。
AppleおよびWWDC参加者によると、Appleの最新の開発環境である「Cocoa」で開発され、比較的最近リリースされたMac用アプリケーションは、インテルチップへの移植が比較的容易なはずだという。InfiniteNIL SoftwareのRod Schmidtは、「それほど難しい作業にはならないだろう」と語っている。Wolfram Researchの共同創業者Theo Grayによると、同社の「Mathematica 5」という複雑な科学技術計算用プログラムの場合、コードの変換には数時間しかかからなかったという。
「数百万行もあるコードのなかで、約20行程度しかいじる必要はなかった」と同氏は語った(GrayはAppleに招待されて同イベントで講演した)。
Cocoaの前からある「Carbon」で書かれた古いアプリケーションでは、多少の作業が必要だ。「XCode」ベースのCarbonの新バージョンで書かれたアプリケーションの場合、調整と再コンパイルを行う必要がある。また、Metrowerks製のツールに依存する古いCarbonアプリケーションは、完全な移植を行わなくてはならない。
全く変換が行われないようなアプリケーション向けには、Appleが「Rosetta」というエミュレータをリリースする。これにより、PowerPC向けの書かれたアプリケーションがPentiumチップで動作するようになる。
このほかにも、さまざまな問題が浮上してくる可能性が高い。コラボレーションアプリケーションを開発するNear-TimeのSamuel Wattersは基調講演に先駆け、「(ユーザーインタフェース関連の)部分に対応するのが難しい。軽快感を出すのも難しいだろう」としながら、それでも「競争の激化には大いに期待している。AppleがMicrosoftと価格で直接競合するのだ」と付け加えた。
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