アプリケーションホスティング事業への関心を深めているIBMは米国時間25日、企業向けにウェブベースのソフトウェアを開発/販売し、マーケティングを行う企業を支援するプログラムを立ち上げた。
IBMは、アプリケーションホスティングを導入しようとする顧客を抱えるISV(独立系ソフトウェアベンダー)パートナーを支援する一連の取り組みを開始した。顧客企業の間で人気が高まりつつあるアプリケーションホスティングでは、アプリケーションを企業のシステムにインストールするのではなく、必要に応じてインターネット経由で提供することになる。
IBMは、アプリケーションホスティングに対する需要が拡大していることに触れた市場調査会社IDCの報告を引き合いに出した。IDCの調べでは、「ソフトウェアをサービスとして」提供する市場は2004年に42億ドル規模となり、2009年までには100億ドル規模へ成長するという。
IBMの関係者は、「オンデマンド」ソフトウェアとも称されるホストアプリケーション関連のビジネスで、同社が昨年10億ドル以上の収入を得たと話している。IBMはまた、アプリケーションホスティング市場が成長すれば、同社のミドルウェアやサーバ、ストレージ製品などの需要も拡大すると考えている。
ホスティングされるツールの大半は、ビジネスアプリケーションのインターネット版で、本来は企業が社内で使用するために自社システムにインストールしていたものだ。顧客企業はホスティングサービスを利用することで、ソフトウェアを比較的短時間に導入したり、ベンダーにアプリケーションの保守を委託したりすることが可能になる。
CRM(Customer Relationship Management)ホスティングを専門とするSalesforce.comなどの企業の中には、アプリケーションのライセンス料金を前払いさせる代わりに、顧客から毎月定額の使用料を徴収しているところもある。
IBM幹部によれば、同社はこれまでゼネラルパートナープログラムを通してソフトウェアホスティングISVをサポートしてきた成果を、今回の取り組みで利用するつもりだという。これにより、パートナー企業はより広範なリソースにアクセスできるようになり、一方で、アプリケーションホスティングサービスをまだ提供していないISVは、その可能性を模索する際に支援を得られるようになる。
IBMのScott Hebner(マーケティング&ストラテジー部門バイスプレジデント)は、「過去2年間にわたってホスティングサービスを提供するISV各社と行ってきたものを、メインストリームの企業に提供しようとしている」と話し、「IBMはこれらの新たなリソースを提供し、顧客のソフトウェアホスティングに対する需要を満たそうとするISVを助け、自らに適した方向性を模索するパートナー企業を、旧来のモデルも併用しながら支援していく」とした。
IBMが今回リリースしたツールには、同社のパートナー企業によってすでに提供されているホストアプリケーションのオンラインディレクトリ「Software as Services Showcase」が含まれる。Hebnerによると、IBMのパートナーであるホスティングISVがすでに市場に投入した、多様なビジネスプロセスを処理するアプリケーションは、すでに40ほど存在するという。パートナー企業は前述のオンラインディレクトリを利用して、互いの製品のマーケティングを共同で行ったり、ホスティングモデルの利便性を顧客にアピールしたりすることが可能だ。
IBMはまた、パートナー企業を支援するために一連のワークショップを開設し、各社がサービスとしてソフトウェアを提供する際の価格設定について最良の方法を見つけだすのに力を貸す。合わせて、ISV各社が新たにサービスを追加するなかで、異なる価格モデルが業績にどう影響するかを理解するための手助けを行う。また、別のワークショップでは、ソフトウェアサービスを開発/販売していく上での最良のアプローチを取り扱う。
また、もっとも重要なこととして、IBMはこれらのISVに、従来のソフトウェアパートナーに提供していたのと同様のインセンティブ--つまり、同社の製品に関連するコンサルティングサービスを販売/マーケティング/開発するための現金を提供する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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