「こんな標準化活動は問題」--公正取引委員会が見解を公表

永井美智子(編集部)2005年05月23日 10時00分

 公正取引委員会は5月19日、標準化活動に関する独占禁止法上の考え方を公表し、問題となる行為の例を紹介した。また、ある規格に関して複数の企業が持つ特許を一括してライセンスする「パテントプール」に対する見解も明らかにした。

 標準化活動については、製品の互換性が確保されることで市場が迅速に立ち上がり、需要を喚起することにつながること、消費者の利便性にも寄与することから、それ自体が独禁法上問題になるわけではないとする。ただし、標準化活動にあたって次の5点のような制限が課され、市場における競争が制限されるような場合は問題となる。

  • 規格を採用した製品の販売価格などを共同で取り決める
  • 競合規格の開発・採用を禁止する
  • 標準化のメリット実現に必要な範囲を超えて、製品の仕様・性能などを共通化する
  • 一部の参加者が規格の策定手続きを不当に利用して、自社に有利、または他社に不利な内容とする
  • 活動に参加しなければ製品市場から排除される恐れがある場合に、特定の事業者の活動を制限する

 パテントプールについては、複雑な権利関係の処理を効率化し、ライセンス料を調整して高額化を防げると考えられることから、競争促進にもつながるとみている。ただし、パテントプールに含まれる特許は、規格に不可欠な特許のみとするよう求めている。さらに、もしパテントプール形成後に優れた代替技術が開発されて既存の規格技術が陳腐化した場合には、すぐにパテントプールから外す必要があるとしている。

 また、パテントプールを通じたライセンスが次のように行われる場合も問題となる。

  • 合理的な理由なしに、特定のライセンシーのライセンス料を高くしたり、規格の利用範囲を広げたりする
  • ライセンシーが特許の無効を主張した場合に、パテントプール参加者が共同でライセンシーとの契約を解除する

 公取委は6月15日までパブリックコメントを募集し、その後正式なガイドラインとして発表する方針だ。内容については「規格の標準化に伴うパテントプールの形成等に関する独占禁止法上の考え方」という名称で公取委のサイトに公開されており、具体的な事例も紹介されている。

公正取引委員会

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