AOLとこれから契約する際に、NTT西日本の提供するフレッツ・ADSLやBフレッツを利用したいならば、AOLとNTT西日本のそれぞれにサービスを申し込まなければならない――。
一般に、インターネットの接続サービスを申し込む場合、大手ISP事業者であれば、ADSLやFTTHの回線サービスとISPサービスを一括して注文を受け付ける。だが、実際には、ISPサービスと回線サービスは、それぞれ異なる事業者が運営しているケースが多い。このため、ISP事業者が窓口となって、回線サービスの注文を取り次いでいるのが実情だ。
ところが、4月1日以降、NTT西日本はこの注文取次に対し、ISPのAOLを運営するイー・アクセスとの代理店契約を継続しなかった。このため、AOLのISPサービスとNTT西日本の回線サービスをこれから利用しようというユーザーは、それぞれ個別に契約しなければならなくなった。
この状況に対し「ユーザーの利便性は損なわれる」として、イー・アクセスは4月14日、NTT西日本のADSLと光ファイバーの注文取次業務を継続できるように電気通信事業紛争処理委員会にあっせんを申請した。
同委員会は電気通信事業分野の公正な競争を実現と紛争解決を図るための機関で、総務省内に設けられている。
イー・アクセスは、契約時のNTT西日本の工事費がユーザーに直接請求されるため、「工事費無料キャンペーン」などの販売促進が実施できず、「ユーザー獲得において決定的に不利だ」とも主張する。
同社は2004年7月にAOLジャパンからISP事業を営業譲渡され、ADSL回線事業とISP事業を同時に手がけている。ユーザーはAOLの利用申し込み時に、同社のADSL回線かNTT東西のフレッツサービス(ADSLまたはFTTH)の回線を選択できる。
NTT西日本から見ればイー・アクセスはADSL回線事業の競合ともとれるが、「そういった状況も含め、戦略上の理由で(イー・アクセスと)代理店契約をしなかった。これについては何ら問題はないと考えている」とNTT西日本の広報担当者は答えている。
一方、イー・アクセスは同社のADSL回線事業とAOLのISP事業とは「区分けしている」と述べ、「FTTHのサービスを手がけていないうえに、ADSLについてもイー・アクセスがカバーする局舎は1000局程度だが、NTTは3千数百局もあるので必ずしも競合となりえない」としている。
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