米ペンシルバニア州のフィラデルフィア市は米国時間4月7日、同市の街路や近隣地域を巨大なWi-Fiホットスポットに変貌させるという計画を明らかにした。
この物議を醸しそうな計画が承認された場合、同市は市の全域135平方マイル(約346平方メートル)のエリアで低コストな無線ブロードバンドアクセスを提供することになる。同市ではインフラを構築し、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)、通信会社、NPO(非営利団体)へ回線を卸売りする。課金、マーケティング、顧客サービス、信号の送受信に必要な装置の家庭への設置などは、すべてISPやその他のアクセスプロバイダが担当することになる
フィラデルフィア市は、同市の各部局が互いに通信を行うためのブロードバンドアクセス回線を購入できるようにすることで、このネットワークを利用する顧客となる。同市はこの計画の一部として、低所得世帯にコンピュータやテクニカルトレーニングを提供する非営利団体も発足させる。
現在、全米各地の都市では、独自のブロードバンドネットワークを構築しようという動きが広がっており、フィラデルフィアの計画はこうした流れを強調するものといえる。多くの市や町では、自ら高速なインターネットアクセス用ネットワークを構築する考えを検討するようになっているが、この背景には行政区内で営業するケーブルテレビ会社や電話会社がブロードバンド回線の敷設に二の足を踏んでいたり、低所得家庭には手の届かない高額な料金を設定しているといった理由がある。
こうした計画のなかには、Wi-Fi技術を使って無線アクセスポイントを街路沿いに張り巡らせるというものもある。また、小都市や過疎地では、道路を掘り起こして高速な光ファイバを家庭やオフィスに張り巡らせるという計画もある。
当然ながら、各地域電話会社(「ベビーベル」)ではこうした計画に反対の立場を取っている。たとえば、Verizon Communicationsは、市町村が独自にネットワークを構築することを禁じるペンシルバニア州の法案を支持しているが、ただしフィラデルフィアの場合には同市がこの計画を進めることを認める契約に合意している。
「サービスが提供されていないことを理由に、独自にネットワークを構築する必要があるとするこの計画を私は受け入れない」と、Verizonの通信部門バイスプレジデントEric Rabeは述べている。「VerizonとComcastは現在、フィラデルフィア市の全域にサービスを提供している。ただし、市側の望むような形でブロードバンド回線が提供されていない可能性もあるため、同市は何か別の方法を試す権利がある」(Rabe)
一方、消費者団体はこの計画を歓迎している。
「低コストのインターネットアクセスだけでなく、コンピュータやトレーニングも提供することで、フィラデルフィアは、デジタル・ディバイドの解消に向けて大きく前進したといえる」と、Consumers Unionの活動家で、Consumer Reports発行人のKenneth DeGraffは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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