サンフランシスコ発--著作権改革論者として知られるLawrence Lessigが米国時間6日、Flash開発者らに対し、Flashがフリーソフトウェアの世界でどう見られているかについての意外な事実を伝えた。
スタンフォード大学教授でFree Software Foundationの理事も務めるLessigは、「Flashは敵だ」というのがフリー/オープンソースソフトウェアの主な支持者の意見であると語った。同氏によると、これらの支持者は「Flashを憎んでおり、Flashコミュニティに参加することは悪魔に魂を売るようなものだと思っている」という。
Lessigは、当地で開催中のFlashforward2005カンファレンスの参加者を前に、「The Costs of Copyright(著作権のコスト)」という講演を行った。同氏の主張によると、デジタル時代の到来により、古いメディアを念頭に置いて決められた著作権法では対応できないコンテンツ共有の需要が生まれたという。その結果、時代遅れの著作権法が創造的な表現と教育に悪影響を与えていると同氏は説明した。
オープンソースの世界ではFlashに対する反感が広まっているとしながらも、Lessigは自らをFlashファンと呼び、同技術を利用するデザイナーやアーチストに対し、自らのつくる作品を従来の著作権保護の枠から解き放つように呼びかけた。
Lessigらが創設したCreative Commonsでは、標準的な「all rights reserved(禁無断転載)」より制限の緩い知的財産ライセンスを提供している。同氏は、Creative Commonsのライセンスを適用した作品の数が最近になって急増していることや、Yahooが先月末にこれらのライセンス条件の下でリリースされたコンテンツに対象を絞った検索エンジンを始めたことにも言及した。
MacromediaのFlashは、以前からオープンなファイルフォーマット(.swf)を採用してきた。つまり、ほかの開発者でもFlashのコンテンツを作成するソフトウェアツールはつくれることになる。
しかし、Flashの技術自体はMacromediaの管理下にある。また、ウェブページを構成するソースコードをだれでもチェックできるHTMLとは異なり、Flashムービーではこうした情報が見られない。
この点について、Lessigは、HTMLの爆発的な増加とApple ComputerのつくったAppleScriptとの差について、Macromediaはもっと勉強すべきだと述べた。同氏によると、HTMLではウェブ制作者同士が互いに相手のつくったもの「盗み」とり、それに改良を加えることが可能だったことから、制作者の巨大なコミュニティが生まれたのに対して、AppleScriptはコードが非公開であるため、そうならなかったという。
「Flashではこの教訓を生かさなくてはならない」(Lessig)
Lessigは、Flashのようなプロプライエタリなプラットフォームはインターネット上で正当に評価されているが、このような技術を活用する開発者は、自分の創作物に対する制約をゆるめるべきだ、と主張した。
「プロプライエタリなプラットフォーム上でつくられるフリーなコンテンツの開発をサポートすることが絶対に不可欠だ」(Lessig)
同氏は、AdobeのExtensible Metadata Plaform (XMP)をを高く評価し、このプラットフォームでは同社がサポートするどのフォーマットにもCreative Commonsのライセンスを埋め込むことが可能だと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果