ワオ・コーポレーションと東京都杉並区は3月31日、共同で記者会見を開催し、杉並区のアニメーション施策や、ワオが2006年4月同区に開校予定のアニメ専門大学院「WAO大学院大学」に対する取り組みについて説明した。
杉並区は、2005年1月に構造改革特区(クリエイティブ教育推進特区)の申請を行い、3月に認定された。これを受け、ワオでは6月に文部科学省にWAO大学院大学の設置申請を行い、2006年4月の開校を目指す。
杉並区長の山田宏氏(左)と、ワオ・コーポレーション代表取締役社長の西澤昭男氏(右) |
杉並区長の山田宏氏によると、杉並区は国内のアニメ制作会社430社のうち71社が集まるアニメ集積地。このことから同区は、2000年に「アニメの杜すぎなみ」構想を掲げ、産業振興施策として地場産業であるアニメ産業を支援してきた。同区の主なアニメーション産業振興施策としては、アニメ制作の現場研修などを6カ月に渡って行う人材育成事業「杉並アニメ匠塾」の実施や、年に一度の「アニメーションフェスティバル in 杉並」の開催、商工担当部署内にアニメ産業振興の専任部署を設置したことなどがある。2005年3月5日には、日本初の総合アニメ展示施設として「杉並アニメーションミュージアム」を開設した。
ワオがアニメ専門大学院を杉並区に設置することに決めたのは、アニメの町として施策を行う同区と連携することが、運営面においてメリットが大きいと判断したためだ。ワオ・コーポレーション代表取締役社長の西澤昭男氏は、「杉並区には地元にアニメ制作会社が多いため、アニメの現場で働くプロを大学の講師として迎えることもできるし、学生を企業に派遣して実地訓練を行うこともできる。また、実際に生徒がアニメの企画からプロデュースにまで関われるような環境ができればよいと考えている」と述べた。
また西澤氏は、WAO大学院大学設立の背景について、「アニメの世界では、日本が世界的に価値を認められているのに加え、デジタル技術が進展し、アニメ、実写、CGなどの境界がなくなりつつある。こういった状況の中、デジタルアニメーションを演出できる監督や、企画から制作、販売までを総合的にリードできるプロデューサーが不足している。これまでアニメ業界の人材育成は、現場で先輩を見習って自ら成長していくパターンが中心だったが、この実践重視の人材育成方法に加え、新たな方法として学校での専門課程を提供したい」と述べている。
同大学院には、デジタルアニメーション研究科が設置され、「演出・監督」と「企画・プロデュース」の2つの領域において各30名ずつ生徒が募集される。演出・監督領域は、アニメの映像表現や演出技法、デジタル技術を学ぶと共に、新しい制作手法にも取り組む。企画・プロデュース領域は、企画などのノウハウを研究し、コンテンツの海外展開手法やキャラクタービジネスの展開など、アニメの活用方法を学ぶ。2年制の専門職学位過程を終了すれば、アニメーションプロデュース修士号が与えられる。
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