ケータイのことを普段考えているからといって、今現在のケータイの技術や機能の限界を意識して想像しているわけでもない。例えば「複数台で5.1chサラウンドを再生する」というアイデアについて、どの端末が重低音を担当するのか、と考えると、実現されるかどうか不安でたまらない。重低音担当の端末はウーハーのみを搭載して、着うたも低音重視になってしまうのか、あるいは高音用のスピーカーと低音用のウーハーを両方搭載した巨大なケータイになってしまうのか。
と、今ここまで書いてきての思いつきだけれど、バイブレーション機能をうまく利用して、机の上に置くと低音が鳴っているみたいに微妙な周波数の差で音階が付けられればよいのかもしれない。そうすれば普通の端末でも重低音担当になることができる。机の材質から音階のズレをフィードバックして修正すれば、どんな材質の上でも正確にベース音を刻むことができるようになるんじゃないだろうか。
あるいはこの際だから、ウーハーを備える低音再生を重視したヒップホップ仕様のケータイにしてしまってもよい。もしそういうケータイが存在していたら、ストリートやクラブカルチャーが好きな人たちの間ではやるかもしれない。例えば友人の中にヒップホップが好きでウーハーケータイを持っているヤツがいれば、他の友人達のケータイと合わせて5.1chの音場環境が作れるようになるし、いなければ低音が抜けたサラウンドになってしまうわけだ。
「ケータイはアイデンティティの外部器官だ」という学生の意見を以前聞いたことがあったが、そのケータイがどんなサウンドを鳴らすことができるかというのもまた、アイデンティティのひとつだというわけだ。なるほど納得してみたくなる。
ウーハーケータイやそれを持つアイデンティティでひとしきり盛り上がってしまったが、この「複数台で5.1ch再生」というアイデア、同じ場にあるケータイ同士が連携して協調作業をするという点にフォーカスが当たっていたのを忘れていた。
ケータイ同士がキャリアの電波を使わずにアドホックにやりとりをする、という状態からいえば、PSPやニンテンドーDSなどの携帯ゲーム端末でゲームシェアリングの機能が実現されている。ケータイという形ではないが、街中の交通機関の中などで、レースゲームの対戦相手を探して小学生とゲームで対戦した、なんていう友人もいるくらいで、車両を移動しながら対戦相手を探すという行動は、もはや奇妙な挙動からよくある光景になろうとしている。
実はゲームシェアリングもまた「5.1ch再生」のアイデアからは脱線している。このアイデアは人がコミュニケーションを取るための下地作りと言うよりは、ケータイに役割を持たせてその場で協調作業に参加する、あるいはその環境に求められていることを実行するというものだ。だから「空気を読むケータイ」と実は同じベースにあるアイデアになるのかもしれない。
とまあ脱線しっぱなしで考え進めてきたが、想像をする、無理矢理予想をしてしまう、というのはこういうことだ。考えを進めていくと眠っている色々なアイデアにたどり着けるし、それぞれが1つずつ「当たった」「外れた」「まだ到達していない」「とうていムリ」「実現できても使われない」とチェックすることができるようになるのだ。
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