東証1部上場予定のカブドットコム証券に人気化観測が浮上

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 オンライン証券会社の大手、カブドットコム証券が3月17日に東証1部に新規上場する。東証1部への新規上場は2月16日の博報堂DYホールディングス以来となるが、同証券の公開価格が1株36万円と、すでに上場している同業のオンライン証券と比べて大幅に割安なことから、市場関係者の間では「上場後にも買い人気が継続することになりそうだ」との観測が浮上している。

 カブドットコム証券は、「システムこそが最大の差別化要因」として、同業他社に対する優位性を強調している。多くの同業他社が、1999年の売買手数料自由化に対応して、売買システムやコールセンターを専門業者に丸投げしてきたのに対して、同社は勘定系を含めた全てのシステムを自社開発・運営しているのが大きな特徴だ。また、現在ネット投資家の欠かせないツールとなっている「逆指値注文(※)」をはじめとする各種条件注文を業界に先駆けて開発し、導入したことでも知られている。

 同社は2001年4月、三和銀行(現UFJ銀行)系のイー・ウイング証券と伊藤忠商事系の日本オンライン証券が合併して誕生した。代表執行役社長の齋藤正勝氏は1966年生まれの38歳で、金融業界では異色の美術大学(多摩美術大学)の出身だ。同氏は、学生時代にシンセサイザーやCGを使ったビデオクリップを創ったのがきっかけでコンピュータにのめり込み、クリエーターからビジネスマンへと志望が変化していったという。その後、証券系のシステム会社を経て、伊藤忠系の日本オンライン証券の設立に参加した。

 同社の大きな特徴は、全てのシステムを自社開発・運営している点だ。オンライン証券の事情に詳しい市場関係者は「オンライン証券の間での“売買手数料の引き下げ競争”が一段と熾烈になっていることは周知の事実。さらに今後東証が、大量の小口注文を集中的に入れてくるオンライン証券に対して、場口銭(ばこうせん:証券会社が東証など取引所に支払う取引負担金)を引き上げるための新制度を導入する可能性もある。したがって、オンライン証券の置かれた収益環境は一段と過酷さを増すことになりそうだ。そこで、自前のシステムを持つことで、事務委託費などの固定費が他社に比べて圧倒的に安く済むカブドットコム証券の優位性が、業績面で発揮されてくる可能性が高い」としている。確かに同社は、同業他社が赤字に苦しんでいる時期にも設立以来黒字を継続してきた実績がある。

 しかし、一方で同社にも依然として克服しなければならない課題も多い。例えば、大株主であるUFJホールディングスのグループは三菱東京フィナンシャルグループとの経営統合を控えており、当然のことながらカブドットコム証券も三菱証券グループのオンライン専業証券会社であるMeネット証券との合併の可能性を十分考慮しておかなければならない。また、営業収益(2005年3月期の第3四半期までの累計・2004年4〜12月)の面でも、トップの松井証券が269億3200万円、2位のイー・トレード証券が185億8300万円となっているのに比べ、カブドットコム証券は80億8300万円にとどまり、かなり水をあけられていることも確かだ。ただ、経営規模やカブドットコム証券が今回東証1部の上場企業となることで、合併後も存続会社となる可能性が高まっている。

 カブドットコム証券は昨年12月、顧客口座数20万、預かり資産5000億円をそれぞれ突破した。自己資本規制比率は昨年末時点で352.8%となっている。

※ 逆指値注文: 株式などの有価証券の価格が、注文時点の価格を基準として、指定した価格より高くなると実際に買付けを行い、指定した価格よりも安くなると実際に売却をするという注文方法のこと。

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