経営陣刷新で株価が6連騰したソニーの今後は?

 ソニーの株価が9日まで6日連続高と、最近にない堅調な値運びをみせている。旧経営陣の退陣による思いきった経営刷新が、株式市場ではひとまず好感されているようだ。

 ソニーは3月7日に経営陣の刷新を発表、会長の出井伸之氏、社長の安藤国威氏が退任し、副会長のハワード・ストリンガー氏が会長に、副社長の中鉢良治氏が社長に就任することが決まった。これを受けての各証券系調査機関の反応はおおむね前向きなものが多く、8日の株式市場でソニーの株価は前日比170円高の4240円と大幅高になった。

 もともと株式市場では、ソニーの業績の低迷を危惧し、経営陣の刷新が要望されていたこともあり、経営陣の刷新をひとまず歓迎するムードが高い。ただ、新経営陣の具体的な経営方針と、その成果が早めに現れてこない限り「短期間に失望に変わることも覚悟しておかなければならない」(準大手証券の調査筋)との見方も聞かれた。

 また、「海外、とくに米国では、ソニーはエンターテインメント企業と見られており、その部門を手掛けてきたハワード・ストリンガー現副会長のトップ就任を歓迎する向きが強い」(中堅証券)としており、特に外国人投資家の評価が高いという。さらに、目先のフシと見られた4200円を抜けても株価が堅調に推移していることから、「持たざる(株の)リスク」を懸念した国内機関投資家の追随買いが旺盛となっているのも実情だ。これまで国内機関投資家の多くは、「ソニー神話はもはや崩壊した」と判断して、電機株のポートフォリオの中でのソニー株の組み入れ比率を徐々に減少させてきたという経緯がある。

 大和総研では8日付で、「新体制での経営方針発表後に評価を行いたい」として、レーティング「4」を継続している。また、「ストリンガー新CEO就任よりも、構造改革の加速、半導体事業およびゲーム事業の重要性などが再確認された点を評価する。ただし、今後のエレクトロニクス事業の改革や、どこまで新たな経営方針を打ち出せるかについては未知数な部分が残る」とし、今後半年から1年間の目標株価についても3200〜3600円を継続、「新経営陣が今後発表するであろう新経営方針の発表を待った上で評価を見直したい」とかなり冷静な判断を示している。

 なお、ソニーには、4月末にも予想される東証によるTOPIX指数の浮動株化(※1)を背景に、業績に関係なく指数連動型のパッシブ運用(※2)を行うファンドからの大量の買いが入るとの見方もある。株価は、4200円で値固めできれば、昨年4月の昨年来高値4710円が次の目標となってくる。日足チャートは新たな上昇トレンド入りを示唆しており、当面は上値を狙う展開が予想されるが、ここで6日連騰したことから、新規投資は押し目買いを心掛けたいところだ。

※1 TOPIX指数の浮動株化: TOPIXなどの指数算出の際、上場株式から持ち合い株や親会社の保有分を除き、市場で実際に流通する株式のみで算出するもの。具体的には、金庫株や上位10大株主・経営陣が保有する株などの固定株から投資信託やファンドを除いたものを浮動株と定義している。

※2 指数連動型のパッシブ運用: TOPIXなどの指数組み入れ銘柄を中心として運用し、市場の平均的なリターンを追求する投資手法。

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