コンピューティング分野で進む女性への門戸開放 - (page 2)

Ed Frauenheim and Alorie Gilbert (CNET News.com)2005年03月07日 21時21分

 改革者たちがコンピュータサイエンス分野への女性進出を目指して努力するなか、IT業界では数十万人の女性が生計を立て、情熱を追い求め続けている。以下にハイテク業界で働く3人の女性の生活を簡単に紹介する。

勇敢な起業家:Stephanie DiMarco

 金融業界の女性に対する偏見が、Stephanie DiMarcoをハイテクの世界で活躍するリーダーの1人に仕立て上げた。

 カリフォルニア大学バークレー校で経営学の学位を取得したDiMarcoは、投資アナリストの募集に応募した。「担当者にタイプ入力の速さを聞かれた入社時の面接が、私の職歴のすべての始まりだった」とDiMarcoは振り返る。

 憤りを感じたDiMarcoは独立を決意し、やがて1983年にAdvent Softwareを共同で創設した。

 当初DiMarcoが思い描いたのは、その当時強力とされていたIBM「XT」パーソナルコンピュータを使って金融機関にソフトウェアツールを提供することだった。今も金融業界専門にサービスを提供している同社には、現在約800人の社員がいる。同社CTO(最高技術責任者)のLily Changも女性だ。

 数少ないハイテク業界の女性CEOの1人として、DiMarcoも屈辱的な経験を味わったことがある。同氏はAdventの創業当時、男性の同僚と同席すると自分が責任者であると思われないことが多かったと回想する。

 しかしDiMarcoは、技術業界には今でも女性起業家にとってチャンスがあるという。「革新の機会が常に目の前にある」(DiMarco)

ヒップホップエンジニア:April Slayden

 April Slaydenを見れば、コンピュータの研究者はだれもが1日中パーティションに囲まれて画面を見つめているわけではないことが分かる。

 Hewlett-Packard(HP)のソフトウェアエンジニアである同氏は昨年8月、ラッパーのSean "P.Diddy" Combs主催のパーティーに参加した後、MTV Video MusicAwards会場の音響システムの設定に携わった。マイアミで行われたこのイベントでは、Paris Hilton、Carson Daly、Olsen姉妹などの有名人が、DJammerと呼ばれるHPの技術が作り出すデジタル音にSlaydenのすぐそばで耳を傾けていた。Slaydenは招待されたパーティーを振り返り、「素晴らしい体験だった。HPのソフトウェアエンジニアの1人に過ぎないのに信じられない」と語った。

 しかし当然ながら、Slaydenが技術業界に入ったのはこのような魅力に惹かれたからではない。現在25才の彼女は、父親がRadioShackで購入したDOSベースのマシンでプログラムを見せてくれた6才のころからコンピュータの虜になった。

 「父が画面に私の名前を表示したり、算数の問題が正しいかどうかを機械が教えてくれるというだけで感動した」(Slayden)

 ミシシッピ州にあるミルサップカレッジの恩師は、彼女に大学卒業後もコンピュータサイエンスを学び続けるよう勧め、医学部に進学せずIT分野を選ぶのに手を貸した。Slaydenはロチェスター大学で修士号を取得し、その後HPの研究部門で働くことになった。

 SlaydenはDJammerのほかにも、ビデオ画面とカメラを搭載したロボットを使い、リモートから「テレプレゼンス」を実現するプロジェクトにも参加した。

 女性は社会で自分を差別化するための手段として技術を捉える傾向がある、とする学者が何人かいるが、Slaydenもそのタイプだ。

 「自分のしていることがDJのコミュニティや世界に貢献していると感じられた方が満足感がはるかに大きい」(Slayden)

コンピュータ嫌いの研究者:Radia Perlman

 Radia Perlmanはネットワークプロトコルのトップエキスパートだが、だからといってコンピュータが好きなわけではない。

 現在Sun Microsystemsで「Distinguished Engineer」となっているPerlmanは、マシン嫌いにもかかわらずコンピュータ業界に入ってきた。

 「実際のところコンピュータは大嫌いだったし、今も好きではない。いつもわけのわからない理由で壊れるから」(Perlman)

 Perlmanが好きなのは、A地点からB地点にデータを送信するときのルールを考えることだ。同氏はマサチューセッツ工科大学でネットワークを堅牢にする方法についての博士論文を書き、いまでは広く利用されている「スパニングツリー」アルゴリズムを発明した。

 スマートな通信戦略を考えることはPerlmanにとって自然な行為だ。同氏は、乾杯の方法にさえ改良の余地があると考えている。

 「乾杯は実に非効率的なプロトコルなので、考えると本当に気が変になる」(Perlman)

 Perlmanはこの分野で認められた第一人者だが、同氏によるとハイテク業界では女性であることはいつも楽なことではなかったという。彼女は不安感や、威圧的なこともあるコンピュータ業界の雰囲気を克服しなくてはならなかった。

 女性は控えめで自問することが多いため、ハイテク企業には非情な雰囲気を和らげる努力が必要だ、とPerlmanは言う。

 「女性はどの点からみても男性と同等か、あるいは優れているかもしれない。しかし、女性の方が自分を疑う気持ちが強い。ところが問題を解決するためには自分を信じなければならない場合が多い」(Perlman)

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