3月から東証1部上場のネットマークスに期待感

 3月1日に、それまでの東証2部から東証1部への指定替えを果たした住友電工系ネットワークシステム開発のネットマークス。そのネットマークスの株価が、一時40万円台に乗せるなど、2月半ばから順調な上昇をみせている。同社の今後の業績見通しと株価の動向を探った。

 ネットマークスの株価は、昨年9月末に1株を2株にする株式分割の権利を落として以降、方向感に欠ける値動きとなっていた。それが、ここにきてようやく下値を切り上げる値動きを強める格好となってきた。

 2月4日に発表された、同社の2005年3月期の第3四半期(2004年4〜12月)連結業績は、売上高378億4900万円(前年同期比71.1%増)、営業利益1億9800億円の黒字(前年同期は5億8700万円の赤字)、経常利益1200万円の黒字(同6億8800万円の赤字)、最終損益2億2000万円の赤字(同4億8900万円の赤字)となった。この決算では、同社グループ内の取引を除く売上高が増加したのに加え、前年同期は連結対象となっていなかった子会社のエス・アンド・アイとスタートネットが期初から連結対象となったことも寄与した。

 ソリューション別にみると、IPテレフォニー部門の売上高が、前年同期比2.6倍(今期通期ベースでは1.7倍を予想)と好調な推移となっている。今期に入ってすでに30社からの新規受注を獲得し、シスコシステムズのIPテレフォニーを使用したネットワーク構築ベースでは、競合他社に比べて依然競争力が高い。一方、セキュリティ部門が前年同期比33.7%減収(通期ベースでは同32%増収となる計画)とやや軟調に推移している。会社側は、2005年3月期の連結業績については、売上高606億円(前期比47%増)、経常利益20億8000万円(同59%増)、純利益9億8000万円(同62%増)としている。

 同社の決算を受け新光証券では、3月3日付でネットマークスについて「来期も高成長を予想」と題したレポートを発表し、レーティング「2+」(やや強気)を継続している。来期の業績についてはIPテレフォニーを中心に好調が継続することから、連結業績は売上高698億円(今期推定比15%増)、営業利益32.7億円(同42%増)、経常利益31億6000万円(同43%増)、純利益17億5000億円(同54%増)と試算している。

 ネットマークスは2月2日、企業のLANに接続されたパソコンやサーバを監視し、そのログを保存するフォレンジクス(監査証跡)関連製品2機種を発売すると発表した。情報漏えいや内部不正利用の抑止につながるもので、今年4月からの個人情報保護法施行を前に、既存顧客から早期に導入したいとの要望が強まっている分野だ。市場では、「このところスキミングやフィッシングなどネット関連の金融関連犯罪が大きく問題化するなど、個人情報保護への関心が高まりをみせいている。現在の同社の連結PER(株価収益率)は60倍台と割高感は否めないものの、将来の業績拡大への期待感からの株価上昇余地はまだありそうだ」(大手証券)としている。

 ネットマークスの株価は、今年の年明け以降、25日移動平均に沿うかたちで上昇を継続している。特に3月から東証1部指定となったことで、TOPIX(東証株価指数)採用に伴う機関投資家の組み入れによる自動的な買い需要が想定されることもあり、株価上昇への期待感が強まっている。

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