アッカ・ネットワークスは3月4日、ジャスダック市場に株式を新規上場した。公募・売り出し株数は4万2550株(需要が高かった場合に追加して販売するオーバーアロットメント分を含む)で、調達した約191億円の資金は設備増強やシステム開発費、一部借入金の返済などに充てられる。
株価は、初値が公募価格と同額の45万円だった。その後、すぐに公募価格比5000円安の44万5000円と公募価格を割り込む安値をつけたが、すかさず切り返して一時は同4万5000円高の49万5000円の高値をつけた。高値を付けた後は一進一退が続いたが、大引けにかけては再び軟化して、結局終値は同6000円高の45万6000円だった。
一般に新規上場では公募価格に対する初値の値上がりで人気を見る。全取引市場における今年の新規上場は、2月8日に大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場した医薬品関連のメディシノバ・インクを皮切りに始まった。3月4日を含めてこれまでに合計24社が新規上場したが、初値が公募価格から値上がりしなかったのはアッカだけだ。
インターネット関連株では、2月16日に東京証券取引所マザーズ市場に新規上場したオークションサイト「ビッダーズ」を手がけるディー・エヌ・エーが、公募価格に対して3倍の初値をつけて好調だった。また、2月18日にジャスダック市場に新規上場したIPネットワーク機器などを手がけるテクマトリックス(楽天が37%出資)も、同3倍の初値だった。
こうして見るとアッカの上場はけっしてうまくいったとはいえない。大手証券会社では「ADSL加入回線数ではYahoo! BB、NTT東日本、NTT西日本、イー・アクセスに次ぎ国内5位ということや、光ファイバー接続サービスとの競争激化などにより、今後の成長が懸念されたのではないか」との見方があった。
この一方で、同社は2004年12月期の決算(単体)を発表した。売上高は386億7200万円(前年比24.6%増)、営業利益は28億6900万円(同57.4%増)、経常利益が25億1800万円(同51.1%増)となっており、純利益は27億6800万円(同117.7%増)だった。
ADSLによるブロードバンド接続が一般化したことによる利用者の増加、法人利用の拡大などが追い風となった。また、同社は2004年の年末時点で47都道府県978局にサービス提供地域を拡大し、提携先ISPを増やしたことなどに加え、下り最大40Mbps、50Mbpsといったより高速な接続サービスを用意し、サービスメニューの充実を図った。これらの結果、2003年末時点で110万3000件だった加入数を2004年末には127万2000件に伸ばした。さらに原価管理等コストの圧縮をより徹底した結果、増収・増益につながったとしている。
当期においては、個人情報の一部流出や通信障害といったマイナス要素も存在したが、同社は「徹底的な原因究明と再発防止を行い、すでに対策は万全である」としている。
2005年12月期の業績に関しては、最近伸びてきている光ファイバー接続の推移によっては影響があることや、DSL接続サービスも個人需要の伸びが鈍化していることなどを指摘しつつも、法人向けを核にしたさらなるサービス拡充と安定化を目指すとしている。2005年12月期の業績は、売上高442億2400万円、経常利益25億8500万円、当期純利益35億3300万円と予想している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」