SAPが人事部テンプレートの人材評価機能を強化

 統合業務パッケージ大手のSAPジャパンは4月、同社の人事業務パッケージ製品向けの最新版テンプレート「ベクトプラクティスHCM」を無償で出荷する。人材の教育や人材の最適な配置のための機能を強化した。

 企業の人事部門は現在、業務部門に対して労務管理などの中核機能を提供するだけの組織ではなくなっている。人材情報の可視化や事業の変化への迅速な対応といった質的なサービスの向上だけに止まらず、管理者や従業員が利用する各種の人事関連サービスを提供する部署になっている。具体的には、eラーニング機能の提供や目標管理アプリケーションの提供、人材のパーソナリティを申告・活用する機能の提供である。

 SAPは、こうした人事業務サービスのための機能強化をテンプレートとして提供してきた。4月に出荷する最新版では特に、外部パートナの人材評価ツールや人材評価情報を取り込む機能を強化した。外部パートナの例としては、日本エス・エイチ・エル、リクルートマネージメントソリューションズ、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングなどがある。

 2004年度の「ベクトプラクティスHCM」の出荷実績は30本であり、この30本が生んだビジネス規模は30億〜50億円。2005年度の出荷目標は45本であり、ビジネス規模では45億〜60億円を狙う。

業務ごとの縦割り組織で専門性に対応

 SAPジャパンでは、汎用業務パッケージのうち、営業部門向けのCRM(顧客関係管理)と人事部門向けのHCM(人材管理)を特別に切り出して商品化している。CRMは全世界のSAPグループが定めた最重要マーケットであり、HCMはSAPジャパンが日本市場で注力する分野である。

 CRMとHCMに注力するための組織改革を2005年1月に実施、CRM事業部とHCM事業部から成るストラテジックソリューション事業本部を設置した。各事業部ごとに専門の営業担当者とコンサルティングエンジニアを配置している。一言で言えば担当する専門業務分野ごとの縦割り組織であり、一般的な一次受けの大手システム開発会社と同じ構造である。背景には、営業業務と人事業務は専門性が高く情報システム部門が業務を熟知していない場合が多いため、システムを提案するベンダー側が業務に詳しくないとビジネスにならないという状況がある。

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