富士通は3月3日、同社のネットワーク事業が2004年度に黒字に転じたことを明らかにし、2005年度以降も成長し続ける見込みだ。2001年度に営業利益率で−12%と赤字に転落した同事業は、2004年度には3期ぶりに同2%と黒字に転じ、2007年度には2000年度の利益率である同5%に戻るとしている。
ネットワーク事業は、ネットワーク機器などインフラ系の製品販売とサービスから成る。課金システムの構築などの派生ビジネスの売上は含まない。2004年度の売上高は、製品の売上高が光伝送などの伝送システムで1900億円、IPネットワークやモバイル事業向けシステムで2050億円の合計3950億円を見込む。また、このほかサービス収入は1200億円を予想している。
富士通 取締役専務 伊東千秋氏 |
ネットワーク事業のうち、ネットワーク機器など製品分野の売上高の推移は、2002年を底とするV字型で以下の通り。2000年度の7780億円から2002年度の3697億円まで急落し、2002年度以降微増している。2004年度の見込み売上高は3950億円、2007年度は4600億円を見込む。変動の激しい海外売上高は、2000年度の3955億円が2001年度には2527億円、2002年度に1230億円へと急落した。2003年度にはさらに下がり1180億円、2004年度の見込み売上高は微小な回復を示し1240億円になる。
2000年度から2002年度にかけてネットワーク機器の売上高と営業利益率が急落した大きな要因は、北米における光伝送システムの市場規模の急落である。2000年度に100億ドルあった北米の光伝送市場は、2002年度には20億ドルを切った。通信バブルの崩壊に富士通の業績も足を引っ張られたかたちだ。
ネットワーク事業の業績回復の手段として同社は、製造部門の合理化や北米のPBXビジネスからの撤退など、事業のリストラクチャリングを積極的に実施した。この上で、リソースを重点分野に集中させた。直近では、2004年12月に米Cisco Systemsとの業務提携を公表するなど、ライバルがいるために高額で販売することができず、開発費用を回収できそうにないと判断したハードウェア製品を、既存のベンダーと協力して開発・販売する方針を打ち出している。こうした試みによって、ネットワーク事業は2004年度以降、緩やかな成長を続けていく。
取締役専務の伊東千秋氏は同社の基本的なスタンスについて説明し、「コモディティ化した産業では勝負にならないので、従来通り、最先端技術をいち早く実装するビジネス手法で勝負をかけていく」とした。そして「製造業の本質は設計開発やものづくり、サポートの現場にあり、よい製品、よいサポートにこだわっていく」と意気込みを語った。製造業とはいえ、ビジネスのプレゼンテーションで「ものづくり」や「こだわり」という言葉を使うことは稀である。
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