設備アウトソースのニイウスが金融アプリケーションに進出

 金融業界や医療業界に対してコンピュータ資源のアウトソーシングサービスを手がけるニイウスは2月25日、コンピュータ・データセンターを活用した同社の今後の事業計画を明らかにした。

 現在、東京と沖縄で稼働中のデータセンターに加えて2005年7月に新たなデータセンターを沖縄に稼動させるほか、これまで医療業界向けにしか提供していなかった業務アプリケーションを、金融業界向けにも提供していく。

 ニイウスは、メインフレームやサーバ機などIBM製コンピュータの販売会社として事業を開始し、その後、中小規模の金融業界などを対象にIBM製ハードウェア管理のアウトソーシング事業を展開してきた歴史を持つ。2004年7月には、医療分野の業務アプリケーション構築にも着手し、今後は金融業務アプリケーションも提供する予定である。現在、ハードウェアのコンサルティングや運用管理などのインフラ系システムエンジニア(SE)を約300人、医療系業務アプリケーションのコンサルティングSEを約200人抱えている。

代表取締役の末貞郁夫氏

 より付加価値の高い儲かる事業へとビジネスの軸を移している理由について、同社の末貞郁夫社長は、「構造的不況のため、ハードウェア関連サービスだけでは高い成長を見込めなくなってきた。今後の成長市場として金融や医療など専門性の高い業務アプリケーションに注力する」と同社の戦術を語った。

 医療分野と金融分野の業務アプリケーションは、自社開発のパッケージを顧客に提供するスタイルを採る。パッケージの開発作業は、国内でのオフショア開発によって人件費のコストを削減している。開発作業の分離について末貞氏は、「現在の市場では、顧客がJava開発者に支払う金額は1人あたり月間70万円以下。ソフト開発では高い利益率を見込めないため、オフショア開発を採る」と市場の情勢を説明する。

 同社によれば、今後2年のコンピュータ資源の進化により、仮想化されたコンピュータ資源のプール内部で、処理性能の動的割り当てや障害の復旧などを、コンピュータみずからが自律的に制御するようになるとしている。コンピュータが以前よりも使いやすくなることにより、運用管理コストを減らせるとともに、アプリケーションの開発コストも半減するという。ハードウェア要件の最適化やソフトウェアのチューニングなどにかかるコストを大きく減らせるというのがその理由だ。

ニイウスが導入したIBM製スーパー・コンピュータ「BlueGene/L」

 設備アウトソースに際し同社は、ブレードサーバなどによる仮想化資源に加え、IBM製のスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」も用意している。1ラック1024ノードの機種を導入済みであり、処理性能は4.61テラFLOPSに達し、これはIBM製ブレードサーバ「BladeCenter」の11ラック(470ノード)分の処理性能に相当する。ブレードサーバと比べ、発熱量、設置空間ともに大きく削減できる。

 従来、スーパーコンピュータは科学技術計算に使われてきたが、ニイウスによれば、業務分野に適用する需要も高いという。ベクトル型からスカラー型へのアーキテクチャの変更によって、Linuxなどの汎用OSが動作するようになった点も、業務分野への適用を後押しする要因である。

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