2004年に米国で売上第一位を記録した人気ゲームソフト「Grand Theft Auto(GTA): San Andreas」のプレイヤーは、ゲームの過程の中で、米国警察の特殊部隊SWATの戦車を盗み、ライバルであるギャング団のメンバーをマシンガンで射ち殺し、さらにコカインの売人の使用人を焼死させる、といった行動を取らなければならない。このソフトのレーティング(年齢区分評価)は「Mature(17歳以上の人向け)」と、はっきり表示されている。上記のような行動は、「Mature」と分類されるゲームでは許容されている。
しかし、そのレーティングをもってしても、依然として、多くの未成年者が最新版GTAの中で仮想のUzis(小型マシンガン)を手にするのを食い止められずにいる。権利擁護団体は、この種のゲームを自由にやらせると、子供たちはより攻撃的になり、現実世界の暴力に対し鈍感になると主張する。また、未成年者へのこの種のゲームの販売禁止を目指している州議会/市議会議員の間でも、この意見への支持が広がっている。
今や、この問題は政治論争の種となっている。議員や権利擁護団体は、ゲーム業界が対策を講じられない、あるいは講じないのであれば、政府が子供たちの保護に乗り出さなくてはならないと主張する。アラバマ州で3人の警察官を殺害したとして逮捕されたDevin Thompson容疑者が、前作の「Grand Theft Auto」に触発されて犯行に及んだことを自供した。Thompsonは犯行当時、16歳だった。このような事件が報道されるたびに、この議論はさらに混迷を増している。
殺害された警察官のうちの2人の遺族は先週、「Grand Theft Auto」の開発元であるTake-Two Interactive Softwareおよびその関係企業数社を提訴した。Thompsonがゲームにより「動機付けられ、訓練された」結果、銃の引き金を引いた、というのが提訴の理由だ。Thompsonは警察に発砲する直前に、「人生はビデオゲームだ。お前たちは、いつかは死ななければならない」と述べたという。
現在、少なくとも6つの州の議会が、レーティングが「Mature」のゲームを17歳未満の子供に販売した場合に有罪とする新法案を検討している。イリノイ州知事のRod Blagojevich(民主党)は最近行ったState of the State演説の中で、同知事が提案する法案への支持を訴えた。Blagojevich知事は演説の中で、暴力的な内容のゲームは、ポルノや酒、たばこと同じであると主張した。同知事は、「実際に実行すれば刑務所行きとなる犯罪行為を教唆するような内容のビデオゲームを(子供たちが)店頭で購入できる現状を許すべきではない」と述べ、さらに「これらのゲームを購入するかどうかは親が決めるべきであり、子供たちではない」と付け加えた。
サンフランシスコ州議会議員のLeland Yee(民主党)は先週、17歳未満の子供に暴力的なビデオゲームを販売した者に1000ドル以下の罰金を科す新法案を議会に提出した。
これに対しゲームメーカー側は、すでに導入しているレーティングシステムにより、各ゲームメーカーが表現の自由を行使できる一方で、親たちは必要な全ての情報を入手できる、と主張する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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