欧州とアジアの政策立案者が今週ロンドンに集まり、両地域の協力方法について話し合いを行う予定だ。この会合で話し合われるテーマのうち、出席者の関心を最も集めているものとして、Eコマースの妨げとなり、世界中の企業を悩ませているスパムメールが挙げられる。
英通商産業省(DTI)が主催する2日間のアジア欧州会合(ASEM)には、DTIやEU加盟国、中国、日本、韓国の代表のほか、IT業界の代表や、Spamhausをはじめとする反スパム団体のメンバーが出席する。
DTIの国際コミュニケーション政策責任者Jean-Jacques Sahelは、Silicon.comの取材に対し、「今回の会合は、スパムメールが重大な問題と見なされるようになるまでの過程を見直す良い機会となる。近頃は、ウイルスや、フィッシング詐欺を目的としたトロイの木馬が添付されたスパムメールが出回っている」と述べた。
今回の会合の行方には、総じて楽観的な見方が漂っている。最大の理由は、中国の代表者が出席するからである。中国は過去の会合に欠席しており、今回も同国の出欠が周囲の関心を集めていたことをDTIも認めている。なお、中国は米国に次いで2番目に多くのスパムを発信している国である。
SpamhausのRichard Coxは、ロシアや中国などの国々が相変わらず「スパムの温床」となっていると述べる。同氏によると、ほとんどのスパムメールの発信元は米国だが、アジアもこうしたメールの送信に加担しているという。
Sahelは「スパマーはあちこち移動して居場所を変えることができる」と警告した。また同氏は、今後の活動を有効なものとし、スパマーが逃げ隠れする場所を制限するためには、アジア諸国の協力が求められると語った。
「注意を怠れば、インドがすぐにも世界のスパム送信国のトップ10に入ってしまう可能性がある」とSahelは付け加えた。
投資銀行Dresdner Kleinwort Wassersteinの情報戦略担当ディレクターMichael Colaoは、政府のIT知識不足を非難する。ロンドンで先ごろ開催されたComputer and Internet Crime Conferenceで、Colaoは「政府はスパム問題に『さまざまな悪法』で対応している」と述べた。
またColaoは「政府はITをあまり理解していない」と付け加える。
DTIのSahelは、スパム問題に対する有効な対策が現段階ではまだ見つかっていないことを認めている。また同氏は、有効な対策を見つけ出すまでの道のりは長いと述べる。
「よく似た会合があまりに多く開催され、議論が多すぎる」と彼は言った。
「今回の会合には期待している。しかし、この会合は、一夜にして何かを解決しようとするものではない」と同氏はいう。「今回の議論を受けて、引き続き実態を調査し、その結果に基づいた行動を始めねばならない」(Sahel)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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