楽天は2月17日、2004年12月期(2004年1月〜12月)の連結決算を発表した。好調な業績を見せる同社だが、株価は今年に入って下落傾向だ。楽天の業績とその株価について探った。
楽天の三木谷浩史社長は17日、2004年12月期の決算発表の記者会見席上で、「2010年での経常利益1000億円をめざす」という目標を改めて表明した。プロ野球球団を含めて強烈なM&A戦略を展開して、グループ企業同士が手がける事業のシナジー(相乗)効果を高め、収益基盤を強化するシナリオを強調している。
楽天の2004年12月期の連結決算は、売上高は455億6700万円(前年比2.5倍)、営業利益は150億5900万円(同3.1倍)、経常利益は154億7400万円(同3.5倍)と、大幅な増収増益となった。ただ、買収した企業ののれん代償却などの買収負担に伴い、最終損益は142億7100万円の赤字となった。これで、2000年のジャスダック上場以来5期連続の最終赤字となった。
この前12月期の好調な決算を支えたのは、本業のネット通販サイト「楽天市場」の期末店舗数が1万587店舗と前年期末に比べて3000店弱増加し、EC事業の売上高が207億2000万円(前期比75.3%増)となったことだ。また、「infoseek」やグリーティングカードサービスを提供するポータル・メディア事業の売上高は57億2000万円(同14.9%増)となった。さらに、前期から通期で連結対象となった「楽天トラベル」をはじめとするトラベル・エンターテインメント事業の営業利益は20億円。同様に前期からグループに加わった「楽天証券」を中心とした金融事業の営業利益は46億円に達し、M&Aによって新規参入したこの両部門によって、連結営業利益の40%強を占めている。
今2005年12月期の連結業績については、売上高620億円(前期比36%増)、経常利益195億円(同26%増)、最終利益100億円の黒字(前期は142億円の赤字)を予想している。ちなみに、プロ野球球団「東北楽天イーグルス」の収支計画について三木谷社長は、2005年度は売上高63億円、営業費用73億円で、営業利益はマイナス9億円の赤字としているものの、2008年度には売上高95億円、営業費用92億円で、営業利益2億円の黒字化をめざすとしている。今期のポイントは、トラベル部門とポータルサイト事業のテコ入れが身を結ぶかが鍵となる。ただ、黒字を達成した場合や、野球事業の業績が予想を上回って最終赤字幅が縮小したり、ポータルサイト事業および金融事業の利益が予想以上に好調な推移となった場合は、今期の業績が上方修正される可能性も高そうだ。
こうして、業績が非常に好調な推移をみせているにもかかわらず、楽天の株価は今年に入って大幅安な下落傾向をみせている。この下落傾向の背景について市場関係者からは「昨年12月末に実施した1対10の株式分割の新株効力発生日を2月21日に控え、需給悪化懸念が台頭していた。新株の還流に伴う需給関係の悪化を見込んで、120万円程度の株価から90万円台にまで株価が下落していたものの、21日を超えたことで、株価が反転上昇軌道に乗る可能性も高まっている。株価が90万円台にまで低下しているのは、買いのチャンスとなりそうだ」との見方も出ている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」