NECとNECエレクトロニクスは2月7日、携帯電話端末向けに開発中の新CPU「MP211」の動作デモを実施した。地上デジタル放送の視聴をしながらウェブサイトをブラウズするなど実際の使用環境を模倣し、新CPUが実際に動作していることを証明してみせた。
デジタル放送(H.264)を視聴しながらWWWブラウザを操作 |
新CPUは、プロセッサ内部に複数のCPUコアを搭載することで、低電圧、低クロック周波数での動作を実現し、電力消費を軽減する。また、マルチコアの構成により、携帯電話端末の需要である、ソフトウェアの不具合でも動作し続ける可用性の高さやウイルスなどが他の機能に影響を与えない安全性の高さなどを実現する。CPUコアには英ARM社製のARM CPUを採用した。
今回実施して見せたデモの詳細は以下の通り。地上デジタル放送の再生を想定し、MPEG系の動画圧縮方式であるH.264コーデックによる動画・音声の再生とブラウザによる情報検索を同時に実行した。コアを3個搭載すると、1個のコアを持つ場合と異なり、これらの操作をしても映像と音声が途切れることがなかった。マルチコアの威力を見せ付けた。
マルチコアであっても、ソフトウェアに変更を加える必要は最小限に留めた。ソフトウェアに変更を加えずに、動画再生機能やブラウジング機能などタスク単位で複数のコアに処理を割り振る仕組みをファームウェアで実装した。ソフトウェアから見れば、あたかも単一のCPUコアで動作しているように映る。
技術部門を統括するNECの福間雅夫システムデバイス研究所長は「今後は並列化の粒度をさらに細かくして、命令レベルまで並列化する。次期版はSMP(Symmetric Multiprocessing、対称型マルチプロセッサ)構成のモデルを出す。専用の並列化コンパイラも開発し、コンパイルするだけでマルチCPUに対応できるようにする」と今後のロードマップを語った。
ハードウェア技術の詳細は2月7日から米国で開催する「国際固体素子回路会議」(ISSCC2005)で発表する。ソフトウェア技術の詳細は3月2日から横須賀リサーチパークで開催する「電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会」を皮切りに順次発表する。MP211を搭載した携帯電話を市場に投入する時期は未定。
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