がんの診断、遠隔地から NTTなどが新システム

 NTT(東京都千代田区)、NTTレゾナント(同)、岩手医科大学病理学第一講座(澤井高志教授)は3日、患者を手術している病院と、生体組織から病気を診断する病理医がいる病院とを光回線で結び、手術中に遠隔地から顕微鏡を操作して直ちに病理医が病気を診断できるシステムを開発したと発表した。

 「病理医のいない地域では、がんかどうかを診断するために採取した組織を大学病院などに郵送するが、診断を待つ1週間ぐらいは患者は気が気でならない」(澤井教授)

 NTTは、これまでも高速通信回線を普及させる用途として、高解像度の画像を必要とする医療分野に着目し、すでに顕微鏡画像の静止画を送信する仕組みは実用化されている。

 ただ、顕微鏡の操作は、小学校でも教えるように、スライドガラスに載せた標本を二次元に動かして場所や大きさを把握し、ピントで奥行きを変えながら使用する。自分で見たい部位や倍率、ピントなどを決められない静止画を順次見せられる方法は、診断に時間がかかり病理医にストレスがかかっていた。

 結果として、「面倒なこともあってそれほど普及しなかった」(澤井教授)のが現状だ。

 新システムは、家庭にも普及し始めた光ファイバー網を使って、顕微鏡のコントロール信号や毎秒30コマのテレビ画面サイズの映像を送る。病理医は、現場にいるのと同様の感覚で2分半で診断できるという。

 遠隔操作対応顕微鏡のレンタル料などを入れても月額数十万円で導入できる。NTTでは「全国の市(1月1日現在で712)への導入を目標にする」ともくろむ。

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