フラッシュメモリプレイヤーは価格が安いため、米国よりも海外で人気が高まっている。それでも、Appleによる同市場への参入について、このタイミングが適切かどうか、Bakerは確信が持てないという。
「(iPod)miniが登場してからまだ1年も経っていないのに、彼らがこの市場に参入する必要が本当にあるのだろうか」(Baker)
フラッシュメモリプレイヤーの価格が下がり、同時に大容量化が進んだ場合、フラッシュ対ハードディスクの戦いが最も激しくなるのは、容量4〜5Gバイト近辺のプレイヤーになる可能性が高い。
iPod miniと、同程度の容量を持つ競合製品は、日立やCorniceをはじめとする各社のハードディスクを採用している。しかし、これらと同程度の容量はフラッシュメモリでも実現し始めている。
Virgin ElectronicsのJoe Sipher(マーケティング担当シニアバイスプレジデント)は、「これらの1インチハードディスクが対応していたニッチ市場に、フラッシュ側でも徐々に対応していくだろう」と述べている。同社はフラッシュベースとハードディスクベースの両方のプレイヤーを販売している。
Bakerも、フラッシュメモリプレイヤーがこのニッチに対応できるという点に同意する。
「4〜5Gバイトの容量があれば700〜1000曲の音楽を保存できるが、(ハードディスク搭載小型プレイヤーの)人気が高い理由は、大半の人はそれで十分と感じており、それ以上多くの曲を保存しておく必要がないからだ」とBakerは述べ、さらに「(小型プレイヤーに)10Gバイトのハードディスクを搭載して250ドルで発売しても、あまり売れないだろう。人々は大容量化を望んでいない」と付け加えた。
それでも、ハードディスクプレイヤーはかなりのシェアを維持していると見られるが、これは特に写真の閲覧やビデオの鑑賞など、顧客が自分のプレイヤーを新たな目的に使おうとしているためである。
Bakerはまた、Appleがハイエンドのハードディスクプレイヤーの売上を犠牲にせずに、MP3プレイヤー市場全体における自社のシェアを拡大しようとしているために直面する課題も指摘した。
仮に、Appleが256Mバイトもしくは512Mバイトのメモリを搭載し、iPodと同じクリックホイールや画面を持つ比較的低価格のフラッシュiPodを発売したとなると、潜在購買者は安い方のプレイヤーに比較的簡単に流れてしまう、とBakerはいう。
一方、フラッシュ市場の既存ベンダーも静観しているわけではない。これらのベンダーにとって最も大きな進展の1つは、主にMicrosoftのJanus技術を採用したサブスクリプション形式の音楽配信サービスが台頭してきたことだ。彼らによると、サブスクリプション形式の音楽配信によってフラッシュプレイヤーの魅力が増しており、しかもこれはAppleには提供できないものだという。
サブスクリプション形式の音楽配信で大量の曲を選べるようになると、すべての曲を携帯することが不可能になることから、おそらくクレードル経由でコンピュータと頻繁に接続するほうが消費者に好まれることになりそうだ。
「Janusが登場すれば、100万曲の音楽ライブラリーのなかから好きな曲を選べるようになる」(Sipher)
Thomsonでは、全世帯の約半数に当たるPCを保有していない家庭や、曲の管理にコンピュータを使わない人々への対応方法も検討している。
「今後われわれは製品ラインを多様化していく」(Arland)
同社は1月のConsumer Electronics Showで、本棚に収納できる小型ステレオを披露する予定だが、この製品はRCA LyraというMP3プレイヤーを接続して曲を転送できるものだ。
「自分の母親のような人たちにとって、これは理想的な製品だ。母は(PCを)メールとオークションにしか使わない」(Arland)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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