私の名前はEllen Simonetti。でも「Queen of Sky」(空の女王)というウェブ上でのニックネームのほうが良く知られている。
約8年間、Delta Air Linesの客室乗務員をしていた私は、今年の1月にブログを書き始めた。タイトルは「Diary of a Flight Attendant(とある客室乗務員の日記)」にした。
ある土曜日に--たしか9月25日だったと思う--帰宅すると、留守電の着信ランプが点滅していた。
「Ellen、帰ったら電話をくれないか。明日のフライトのことだ」。テープの声はかなり急ぐような口調だった。
電話の主はDeltaのフライトマネージャだった。私は多分、翌日のローマへのフライトがキャンセルになったのだろうと思い、メッセージに録音されていた番号にすぐに電話した。しかし、次のようなマネージャの言葉を聞いて、私はショックを受け、そしてムカついてきた。
「君は明日のフライトには搭乗できない。ウェブで公開している写真のせいだ」
私がDelta側の経営幹部と会い、ようやく自分の身に起こっていることを把握したのは、その電話から1週間以上経った後のことだった。長い長い1週間だった。私は、テキサス州オースチンのアパートで、最悪の事態を覚悟しつつ、正式な決定を待っていた。解雇されるのだろうと思い、弁護士や知人にも相談した。
自分と同じような目に遭っている人たちの存在を知ったのはそのときだ。dooce.comのHeather B. Armstrongは、2002年にブログを理由に解雇されていた。有名なWashingtonienneというブログの作者も、彼女がブログに書いたコメントのせいで、今年に入ってやはり解雇されていた。
私の身に起こったことがネット上で知られるようになると、私のもとに、米国内はもとよりヨーロッパ諸国からも、ブログを理由に不当解雇された多くの人たちから、さまざまなメールが送られてくるようになった。あるコメディアンは名前は伏せて欲しいと断った上で、自分のブログで同僚についてジョークを言ったところ、仕事を失ったと話してくれた。
Deltaの上司から電話を受け取った後、私はまず、Delta側の経営幹部が問題視しそうな写真をすべて自分のブログから削除した。その中には、私と同僚のクルーがDeltaの制服姿でポーズをとっている写真も含まれていた。
10月6日、人事部の担当者と直属の上司に会って、ようやく私の停職処分の正式な理由が判明した。理由は「不適切な」写真だという。もちろん、本当の理由は(経営側の脅しのような尋問から推察するに)ブログである。
私はもともと、ある種のセラピーのつもりでブログを書き始めた。私は2003年9月に癌で母を亡くしたが、そのことでひどく打ちひしがれていた。私には、そのことについて話すよりも、自分の気持ちを書くほうがずっと楽だった。私が辛い時期をなんとか乗り越えることができたのはブログのおかげだ。会社側は、私が仕事を失ったのはそのブログのせいだという。私は自分の権利が侵害されたと感じた。そして、戦うことを決意した。
会社側の人間と会ったあと、私は家に帰るとウェブにアクセスし、Deltaの制服姿の男性社員を撮したたくさんの写真をインターネット上で見つけた。また、Deltaの定款に、ウェブ上に写真を掲載したりブログを執筆したりするのを禁止する条項がないかと調べてみたが、結局見つからなかった。
私のDeltaでの勤務評価は高かったし、懲戒処分を受けたこともない。だから、少なくとも何の警告もなしに停職処分にするのは奇妙としか思えない。私は、なぜ自分に白羽の矢が立ったのかを今でも考え続けている。実は、経営側と会った2日後、私は雇用機会均等委員会に、不当な性差別を受けたとしてDeltaを告訴している。
そして、この告訴から3週間後の2004年10月29日に、上司からの電話があった。彼は、「ウェブ上で不適切な制服姿の写真」を公開したことを理由に電話で解雇を通達してきた。
私は、その後もブログを書き続け、ブログを理由に不当解雇された今回の件を多くの人に知ってもらった。この訴訟に負けるようなことがあるとしたら、我々は、こうした経営側の身勝手な行為に断固として立ち向かい、そうした悪い芽をまだ小さいうちにつみ取って、二度と頭をもたげることがないようにしなければならない。
筆者略歴
Ellen Simonetti(別名「Queen of Sky」)
現在Delta Air Linesを告訴中で、客室乗務員の仕事を取り戻そうとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」