メガチップスの株価上昇を支える携帯ゲームの好調

 ファブレス半導体メーカーのメガチップスの株価が、11月下旬から上昇をみせている。株価上昇の背景には、ASIC(特定顧客向けLSI)やASSP(特定用途LSI)の販売好調による業績の拡大がある。個人消費の低迷が伝えられるなかでも強さをみせる携帯ゲーム機器やデジタル関連機器からのLSI需要が好調に推移しているためだ。

 メガチップスの2004年9月中間期の連結決算は、売上高156億6900万円(前期比32.3%増)、営業利益12億100万円(同58.7%増)、経常利益11億8900万円(同62.2%増)、純利益6億2900万円(同24.2倍)の好調なものとなった。これは、売上高の約70%を占める任天堂のゲーム機・同周辺機器や同ゲームソフトカートリッジ向けの半導体を中心とするASIC事業が、前期の2ケタ減から一転して、対前年同期比31.8%増の売上高100億8900万円と非常に好調な推移となったためだ。さらに、第3世代携帯電話やデジタルカメラ向けなどのLSIを手掛けるASSP事業も、前年同期比44.6%増の好調な推移となった。この結果、ASICとASSPの両事業を含むLSI部門の売上高も138億8600万円(同35.1%増)となった。

 同社のASICの大半は、任天堂の携帯型ゲームソフトに使用されている。任天堂が従来型ゲームソフト出荷本数を従来の7000万本から7700万本へ上方修正したことはASIC出荷数量の増加を意味する。さらに任天堂は、新型携帯ゲーム機(ニンテンドーDS)の出荷台数の前提を350万台から500万台に上方修正している。2006年3月期以降のソフト出荷見通しもポジティブで、このソフトにもASICが使用されるもようだ。現在、携帯電話やデジタルカメラ向けにメガチップスのASSPを採用しているメーカーや機種は限られているが、採用機種や採用メーカーの拡大に向け、同社は顧客と共同開発を進めており、中期的成長ポテンシャルには期待できそうだ。

 2005年3月期の通期業績については、期初の減収、微増益の予想が当初1ケタ増収増益へと上方修正されたが、携帯型ゲームソフト用の半導体が好調で、2ケタの増収増益へと再度上方修正した。会社側の今3月期の連結業績予想は、売上高288億2000万円(前期比11.4%増)、経常利益16億1000万円(同10.3%増)、純利益9億5000万円(同3.3倍)となった。

 こうした業績の好調を背景に、野村証券は11月30日付でメガチップスの投資判断を「3」(中立)から「2」(やや強気)に引き上げている。同証券では、携帯電話向けASICや、新携帯ゲームが話題の任天堂向けソフト用ASSPの伸びで、増益基調が続く見込みにあることを、投資判断引き上げの理由として挙げている。

 ただ、現在は好業績のけん引役となっているものの、売上高の約70%を占める任天堂向けのLSIへの依存度が高過ぎることから、任天堂向けの需要が一巡した場合の業績へのマイナス影響は覚悟しておく必要がありそうだ。

 メガチップスの最近の株価は、9月中間期の好決算と下期を含めた今3月期通期業績の大幅な上方修正を好感して、11月20日の1020円を底に上昇トレンド基調に転換し、現在は1200円台で推移している。急速な上昇の後だけに、今後は目先的には小幅な調整も予想されるが、中期的には好業績を反映して1500円を目指す展開に期待が寄せられている。

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