11月22日、23日に宮崎シーガイアで開催された「New Industry Leaders Summit 2004」。初日、「セッション1-b」としてエゴンゼンダーインターナショナル コンサルタントの荒巻氏をモデレーターに、サイバーエージェントの藤田社長、サイバードの堀社長、グロービス・キャピタル・パートナーズの加藤氏をスピーカーに迎えた討論会が行われた。
セッション b-1は、モデレーターの荒巻氏とスピーカーの3名による討論、そして会場からの質疑応答で進められた。討論のはじめに荒巻氏は、組織、人材の側面から見た「ベンチャー企業の成長課題」としてガバナンス、動機付け、M&A、人材確保の4点を提示。今回のセッションでは、特に「M&A」について熱い討論が行われた。
1997年、青山学院大学卒業後にインテリジェンスへ入社、人材コンサルティング業務に携わる。1998年3月、24歳の時にインターネット企業の営業力の弱さに着眼し、インターネット営業代行会社としてサイバーエージェントを設立、代表取締役社長に就任。2000年3月に東京証券取引所新興企業市場(マザーズ)に上場。現在、インターネット広告代理事業、インターネットメディア・コンテンツ事業を展開。
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関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。帰国後、母親が手がけていた新ホテル建築プロジェクト、競走馬の栄養管理会社の設立などに参画。1994年、会員制インターネットポータルサイト運営を手がけるパラダイスウェブを設立、代表取締役に就任。1998年、モバイルコンテンツおよびソリューションの提供などを行うサイバードを設立、代表取締役社長に就任。
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大手経営コンサルティング会社を経て、グロービスに創業メンバーとして参画。グループの各事業などの立ち上げに携わる一方、グロービス・グループのCOOとして全社経営の任にある。現在はハンズオンキャピタリストとして日本発のメガベンチャー創出に尽力する。既にワークスアプリケーションズ(JASDAQ)、GDH(マザーズ)などの公開実績がある。またワークスアプリケーションズ、サイバードでは社外取締役も務める。
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1988年、東京大学大学院工学系研究科修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社。全社戦略、組織改革、M&Aなどのコンサルティングに従事。韓国 ソウル支社、McKinsey Global Institute(米国ワシントン)、オランダ アムステルダム支社を経た後、東京支社にてシニア・エンゲージメント・マネージャー。2000年2月、クレイフィッシュ取締役 最高執行責任者。2001年2月、水素エネルギー研究所最高執行責任者。2002年2月1日より現職。
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荒巻:企業規模拡大にあたっては、大きく分けて自律成長とM&Aの2つが考えられます。M&Aと自律成長、どちらにもメリット・デメリットがありますが(参考資料1:組織の成長・事実/参考資料2:「M&A」vs.「自律成長」)みなさんの会社ではどちらに力点を置いているのか、そしてその理由を教えてください。
藤田:サイバーエージェントは自律成長の会社です。新卒カルチャーとでも言うべきものが作られていますし、仮に中途採用でもこの業界は初めての人が多く、起業の機会を得るためにがんばっています。
M&Aで伸びる会社を見ていると圧倒的に中途採用が多く、M&Aで異質のカルチャーを取り込むのに慣れていると言えるでしょう。我々のように新卒採用を重視し社内で実力をつけさせることを重視するタイプの会社は、どうしても自律成長にせざるを得ません。
堀:サイバードも今年の頭まではずっと自律成長を唱えつづけてきましたが、現在は方針を変更中です。もともと自律成長を推進していたのは、一般的に日本人は欧米人ほどロジカルにM&Aを理解できない、つまりメンタルでとらえる傾向があるために、どうしても「買った、買われた」関係がしこりと残ると考えていたからです。それに、サイバードはビジョンを同じくする者たちのつながり、精神的なものを大切にしていましたから。
しかし最近M&Aの当事者達に話を聞くと、時代が変わってきたのではと感じています。というのは、メンタルなひっかかりをネックに感じる人があまりいなかったためです。この点がクリアできればM&Aもひとつの戦略だと認められるため、弊社でも段階的に始めています。
荒巻:実際問題として自律成長は、人を採用してから戦力になるまでの時間と手間がかかりますよね。いい人材を育て上げたいがスピードも上げたいという希望もあるのでは。この相反する2つの課題を、どうクリアしようと考えていますか。
藤田:自社で努力した結果、サイバーエージェントはいまだに年度で65%程の伸びがありました。ですから、しばらくはメイン戦略を成長に置いています。しかし自分たちが掌握できる範囲のものであれば、今後はM&Aも考慮に入れるでしょう。
荒巻:サイバードはM&Aを始めていくとのことですが、現在の問題点、今後の戦略やアプローチを教えてください。
堀:とにかく「買った、買われた」という双方の意識をなくすことに神経を使います。やはり企業文化の違いはどうしても生じますし、メンタル面との整合性に悩みますね。買収前にはちょくちょく相手の会社に足を運び、自分たちの会社の紹介と、「これから一緒に面白いことをやっていこう」とコミュニケーションを取るようにしています。
荒巻:買収にあたっては、事業や資金面だけの評価が一般的ですが、欧米では相手先の企業の経営陣をヘッドハンティングで培われた人材評価の妙法をもって評価し、その上で買収に値するか、うまくやっていけるかどうかを判断する「人材デューディリジェンス」サービスが普及しつつあります。実際、結果を見て買収を取りやめるケースも出てきているのです。
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