--オープンソースが急成長を遂げた1つの理由が、無料という点にあったことは間違いありません。ソフトウェア・ライセンス料が発生しない分野でも、サービス企業にコストの点で優位性はあるのでしょうか。
今、市場ではまったく新しい価格モデルが生まれつつあります。これは過去20余年にわたって、ソフトウェア製品の価格設定に用いられてきたモデルとは異なるものです。
ライセンス販売の場合、顧客は最初に多額の費用を払い、さらに保守費用も支払っていかなければなりません。ソフトウェア企業の収益に占める保守サービスの割合は伸び続けています。しかし、顧客にとってはどうでしょうか。最初に多額の出費を強いられるにも関わらず、ソフトウェアの実装は基本的に、自分たちで苦労してやらなければならないのです。
現在、このモデルは厳しい挑戦にさらされています。というのも、今ではIT自身がこうした問題を解決できるようになっているからです。商用ソフトウェアを退け、オープンソースを採用するCIOは増え続けています。それはなぜでしょうか。1つの理由は、オープンソースの質と信頼性が高まり、堅牢性が向上しているからです。となれば、価格モデルも見直されてしかるべきです。
--では、オープンソース・コンポーネントの組み立てとパッケージングの点で、サブスクリプション・モデルにはどのような優位点があるのですか。
スタックとサービスを徐々に追加できる点です。企業は最初に多額の料金を請求されることもなければ、高額の保守契約を迫られることもありません。私たちは顧客に必要なものを、必要なだけ提供します。多少の形式の違いはあるでしょうが、いずれはすべてのソフトウェア・コンポーネント・アプリケーションが、オープンソース・ソフトウェアとして提供されると思っています。
--それはソフトウェアが無料になるということですか。
私が言っているのは、ソフトウェアが今後、どの方向に進むのかということです。もちろん、今後もユニークな知的財産は登場するでしょうし、企業や開発者が保護したいと考える革新的な技術もあるでしょう。そうであるべきです。しかし長期的にみれば、オープンソース・ソフトウェアによってコモディティ化される分野はさらに増えると思います。
--さまざまなソフトウェアがコモディディ化し、手軽に入手できるようになれば、あなたが述べたようなサービスに業界の関心が集まるのでしょうか。
この業界に限らず、コモディティ化が進んだ産業では必ず同じことが起きます。つまり、革新が次のレイヤーに移行するのです。たとえば、General Motors(GM)を見てください。GMの自動車用情報サービス「OnStar」は、今や同社の重要な収益源となりつつあります。現在、同社は自動車産業のレイヤーをさらに上がって、いまではOnStarを他の自動車会社にもライセンスするようになっています。
--つまり、ソフトウェアの開発や販売には、かつてほどのおもしろみがなくなったということですか。業界のベテラン起業家が、相次いでSpikeSourceやSourceLabsのようなサービス志向の企業を設立しているのはなぜですか。
建築業界で起きたことを思い出してください。これについてはDoc Searlsが精力的に議論していますが、「DIY-IT(手作りのIT)」という概念があります。土台となるコンクリートと木材は簡単に手に入るようになった--本当に難しいのは、これらの部品をどう組み合わせるかです。
現在では当社をはじめ、多くの企業がこの事業に参入していますので、この点は自動化されつつあります。もちろん、だからといって、商用ソフトウェアや非オープンソース・ソフトウェアが消えてなくなるわけではありません。しかし、建築業界でDIY革命が起きたように、この業界でも新しい革新が起きるはずです。
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