パームの生みの親は脳の研究に首ったけ - (page 2)

Richard Shim and Ina Fried(CNET News.com)2004年11月04日 23時46分
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-- Hawkinsさんは、脳は常に物事を予測しているとおっしゃいますね。人間はその予測に基づいて行動し、様々な経験から得られた感覚的入力情報が脳に返送され、脳がまた新たな予測を立てる、と。一方、コンピュータは多くの場合、最も最近の物事を処理しており、予測はほとんど行なわない。この2つの違いについて詳しく説明していただけますか。

 そうですね、我々の脳はコンピュータとは全く異なる原理に基づいて動いています。しかし、だからと言ってコンピュータ上で脳を模倣できないというわけではありません。ただ、そのためにはまず脳の働きを理解しなくてはならないでしょう。(人工知能の)数々の失敗の原因は、インプットがあると、その後にアウトプットもあるという発想です。つまり、システムにある情報を入力し、それに対してどのようなアウトプットがなされるかによって、そのシステムが成功か否かが決する、と考えられていたせいです。

 彼らは、思考とは何か、知覚とは何か、物事を理解するとはどういう意味かについての考えを持っていなかったのです。コンピュータと脳の最大の概念的相違点は予測能力の有無です。脳に関して言えば、あるインプットに対するアウトプットとは、脳内部の予測のメカニズムを意味します。簡単に言えば、「おい、行動を起こしたり、何かをする前には確認作業が必要だ。私は今何が起きているかを把握しているのか」と自問自答するわけです。(予測メカニズムが)成功するか否かは、正しい行動を取れるかどうかではなく、(心の中で未来について)実際に計算し、次に何が起きるかを予測できるかどうかで決まります。

-- 仮にあなたの理論が正しく、また脳が異なる感覚的入力情報を、基本的に同じ方法で処理することを可能とする共通のアルゴリズムが存在するとして、そのアルゴリズムに関する理解はどの程度進んでいるのですか。

 私も理解していない部分はありますが、基本事項についてはほとんど把握しているつもりです。ですから、(完全に理解するのも)そう何年も先というわけではありません。現在、一人の大学院生がこのアルゴリズムの開発に取り組んでいます。また、いくつかの大学のコンピュータ科学部門でもこの研究を行なっています。コンピュータ科学者はこの種の研究は好きですし、生物学者もこの研究なら喜んで引き受けます。ですから、本当に素晴らしいフィードバックを得ることができました。

-- この研究が、学問の段階を脱して商業的利用が可能になるまで、あとどのくらいの時間がかかりますか。

 私は1年以内にこの分野に取り組む新興企業が現れると予測しています。実は、自分自身でそれをやろうかと考えているところです。

-- このアルゴリズムを商業的に魅力ある製品にする上での課題は何ですか。

 時間と労力です。アイデアはありますし、技術もありますので、その2つに関しては問題ありません。私がこの仕事を行なう上で唯一気がかりなのは、私が現在もPalmOneに深く関わっている点です。また私はRNIの所長も務めています。現時点では、「私以外にこの分野に取り組む人を1000人集められないだろうか」という気持ちに傾きつつあります。

-- しかしそれにはかなりの時間がかかりますね。

 もう2年経過しましたが、問題はありません。これはいずれ実現します。将来、このビジネスを始める企業が次々に現れ、多くの人々がこの分野に取り組むことになります。

-- そのプロジェクトとPalmOneで行なっている研究とは、完全に補完的なものですか。それとも、現時点では2つの全く異なるものですか。

 2つは補完的な関係にあります。そして私はどちらのプロジェクトもコンピュータの未来像を描いていると考えていますので、両方に関心を持っています。PalmOneのプロジェクトでは、パーソナルコンピューティングの未来を描いています。パーソナルコンピューティングの分野では、ポケットにすっぽり収まる機器を使って超高速の無線接続が可能になるでしょう。それに対して、RNIのプロジェクトが描いているのはコンピューティング一般の未来です。

--Hawkinsさんは、PalmOneでは様々な方法で会社に貢献したいとお考えですが、まだそのような形の貢献が可能とお考えですか。初期の頃は、明らかにHawkinsさんが全体的な方向性を定めていらっしゃいましたが。

 確かに初期の頃に方向性を定めましたので、次は基礎を築く番です。現在PalmOneでは、2、3の非常に大きな構想を推進していますので、私はその詳細にまで関わることはできません。しかし、概念的なこと、例えばスマートフォン開発の後に何をすべきかなどに関しては、方針説明書を書いたり、会社に出向いて開発チームと会ったり、マネージャにこれらの製品の持つべき機能が何かを説明させることができます。しかし、スタッフの誰かがきて「ほら、ボタンがくっついて動きません」と言っても、その度に出向いていくわけにはいきません。

--本の執筆は今回限りとお考えですか。次回作を出版されるご予定はありますか。

 難しい質問ですが、(次回作を執筆したいという)願望はあります。(本の執筆は)大変な重労働です。私が本当に集中して書けるのは時間がたっぷりある時に限られますが、今のところ週末にしか時間は取れません。

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