大日本印刷(DNP、北島義俊社長)は、Webサイトや携帯サイトなどにおいて、利用者のニーズに合ったコンテンツを自動的に推薦するシステム「Interspire(インタースパイア)」を開発したと発表した。
コンテンツを推薦するシステムは、リコメンデーションシステム(recommendation:推薦)と呼ばれ、ショッピングサイトでの利用者のニーズに合った商品を表示する用途などに使われている。従来のリコメンデーションシステムは、「個人属性の事前登録が必要」、「精度の高い推薦を行うには一定規模以上の利用者数が必要」、「データメンテナンスなどのシステム運用に高度なノウハウが必要」といった制約事項があり、すべてのサイトに適したものではなかった。
今回の「Interspire」では、インターネット利用者に向けたOne to Oneマーケティングをより効果的に行うために、従来のリコメンデーションシステムがもつ問題点を解消しつつ、精度の高いコンテンツの推薦を行うシステムとして独自に開発した。
具体的には、(1)推薦の対象とするコンテンツを分析し、各コンテンツに含まれる特徴的なキーワードから各コンテンツの特性を自動的に抽出、(2)利用者が閲覧したコンテンツの特性から個々の利用者がもつ興味や嗜好を推定し、利用者ごとのプロファイル(興味・嗜好情報)として記録(氏名、性別、年齢、住所などの個人情報の登録は不要)、(3)利用者のプロファイルとコンテンツの特性を照らし合わせ、利用者のニーズに合ったコンテンツをリアルタイムに自動的に選択――という独自の方法で推薦を行っていく。
これによって、個人属性の事前登録を行うことなく、精度の高い推薦が可能となった。また、精度の高い推薦を行うために、一定規模以上の利用者数を必要としないほか、自動学習、自動推薦を行うシステムであるため、データメンテナンスなどのシステム運用に高度なノウハウを必要としないなどの特徴をもっている。
さらに、キーワード検索、全文検索などの各種検索機能を提供することも可能で、全文検索機能+推薦機能といった複合処理などによって、より精度の高い推薦を行うこともできる。DoCoMoなどの携帯サイトや一般のWebサイト、イントラネットのWebサイトからも情報収集が可能で、これまで難しかった異なるサイトを横断したコンテンツ推薦を行うことも可能にした。
このほか、利用者のアクションと商品属性を対応付けておくことで、日本語文章がない画像や動画といったコンテンツもリアルタイムに推薦対象にすることが可能となっている。すでに立ち上げているWebサイトはそのままに、Interspireサーバーを用意して接続するだけで検索、リコメンデーションなどのInterspire機能を組み込むことができる。
導入コストは200万円から(ハードウェア含まず)。同社の総合インターネットサービス「MediaGalaxy」や「インターネットデータセンター」を利用する企業のほか、幅広いサービスに「Interspire」を提供していく予定。同社では、書籍、CDなどの商品を販売するショッピングサイトや旅行、グルメ、ホビー、カルチャー、住宅などの生活情報を提供するサイトなどの情報提示画面、メール、バナー広告などへの活用を提案し、初年度5億円の売り上げを目指す。
なお、第1号ユーザーとして、アルバイトタイムス(鈴木秀和社長)が運営する求人情報サイト「DOMO NET」への採用が決定した。利用者が「DOMO NET」で閲覧や応募した求人情報から利用者の興味や嗜好を分析し、さらに希望勤務地、職種、時給などの属性情報を自動蓄積して、これらに合致するコンテンツを、おすすめの求人情報として利用者に情報提供している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス