Ultra-WideBand(UWB)の標準仕様策定に向けた作業が、関係各社の意見対立によって行き詰まっており、長期化の様相を呈してきた。UWBは、BluetoothやZigbee、赤外線通信といった短距離無線技術との競合が見込まれる技術だ。
Intel率いるグループとMotorolaの子会社であるFreescale Semiconductorは、それぞれが提出したUWB標準仕様案をめぐり、来週ドイツのベルリンで開かれるIEEE(Institute for Electrical and Electronics Engineers)メンバーの会合で再び対立することになりそうだ。これは、最近行われた投票において、最低でも75%の支持を必要とするなか、Freescaleが60%の賛成意見しか集められなかったことを受けたものだ。
この対立により、互換性のないUWB製品が市場に出回ってしまう可能性がある。これでは、標準化策定プロセスに対してユーザーが悪い印象をもつようになってしまい、仕様を標準化することの本来の目的とは逆の結果になりかねない状況だ。
標準化の行き詰まりを打開するため、FreescaleのUWB担当ディレクターMartin Rofheartは、両サイドが提案する仕様を標準案として来週提出するつもりだと述べる。アルファベットの数ほど多くの標準が存在するWi-Fi無線技術と同様に、UWBでも複数の規格を両立させようというのが、同氏の考えだ。WiFiのどの仕様が最も普及するかという問いに対する答えを最終的に示してくれたのは、標準化団体ではなくユーザーの購買パターンだった。
「必ずしも選択肢を1つに絞る必要はないとわれわれは考えている。私が接触した大手家電メーカー各社もそう思っているようだ」とRofheartは述べる。「しかし、われわれが必要とする圧倒的多数の75%の支持を得られるとは考えていない」(Rofheart)
複数の仕様を両立させようという試みは、IntelやHewlett-Packard(HP)、Texas Instrumentsらが参加するMultiBand OFDM Alliance(MBOA)の抵抗にあっている。MBOAは、Freescaleと対立するもう一方の提案を支持している。標準仕様が複数存在することは「標準化の概念そのもの」と相反し、製品に適用されるスピードも遅くなってしまうと、Intelの広報担当は述べる。
UWBの標準化に向けた歴史は、こうした苦難の連続だった。作業は何度も行き詰まり、その結果、高速無線技術の登場は何年も遅れてしまっている。必要な帯域の商用利用が米連邦通信委員会(FCC)によって2002年に認可されたとき、UWBはBluetoothキラーとさえ呼ばれた。しかし現在のところ、FCCではUWB製品として、Freescaleが出している開発者ツールキットただ1つだけを承認している状態だ。
メーカー各社によると、セットトップボックスやフラットパネルディスプレイ、PCIカードなど両方の仕様をベースとした最初のUWB対応製品は、2005年春まで店頭に並ぶことはないと述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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