ソニー、シャープ、パイオニア、第1四半期決算後の株価が下落

 前回の当コラム「第1四半期決算はハイテク企業の株価反転上昇のきっかけとなるのか」でも指摘したように、主力ハイテク銘柄の決算発表への株価の反応は極めて低調なものとなっている。29日の東京株式市場では、決算内容の芳しくなかったソニー、パイオニアの株価が反落しただけでなく、好決算を発表したシャープまで1週間ぶりに年初来安値を更新するなど、主力ハイテク銘柄が概ね軟調な株価推移となった。

 ソニーは28日に今3月期の第1四半期(4〜6月)の連結決算を発表、構造改革費用計上から当初は赤字とみられていた営業利益は、98億円の黒字(前年同期比41%減)を確保した。今3月期通期業績見通しについても、期初の連結営業利益1600億円(前期比62%増)、純利益1000億円(同13%増)の予想を変更しなかった。

 この決算を受けて、野村証券はソニーの投資判断を従来の「2(やや強気)」から「3(中立)」に引き下げた。いっぽう、準大手証券では「ソニーのエレクトロ二クス事業の鍵を握るCELLプロセッサを搭載した初の製品となるサーバが、第3四半期に出荷される予定。これにより今後の収益回復を判断するスタートラインに着くことが可能になる」としている。

 パイオニアは29日の株式市場で、一時10%を超える急落で東証1部の下落率2位となり、20日に付けた年初来安値2520円を大きく更新した。28日発表の第1四半期の連結営業利益が前年同期比35%減益となったことに警戒感が強まり、売りが集中したためだ。デジタルAV機器は伸びているものの、単価下落による売上高原価率の悪化、広告費用の増加が利益の大幅な減少を招いた。ただ、今3月通期の連結業績見通しについては、従来の営業利益500億円(前期比14%増)、経常利益480億円(同14%増)を据え置いている。

 さらに、シャープも反落している。29日の同社の株価は、7月23日につけた年初来安値の1583円を1週間ぶりに更新、1581円まで下落した。28日に発表した第1四半期の連結決算では、液晶テレビなど液晶関連製品の伸びを主因に営業利益は前年同期比22%増益と好調な伸びとなっている。ただ、今3月通期の連結業績見通しについては、これまでの営業利益1500億円(前期比23%増)、経常利益1400億円(同25%増)、純利益750億円(同23%増)を上方修正しないで据え置いたことから「当然業績が上方修正されるだろうということを織り込んで、押し目買いを入れていた機関投資家や個人投資家からの見切り売りが出たようだ」(市場関係者)としている。シャープについては、5月以降株価が下落し続けるなかで、信用取引の買い残高が膨らみつづけていることも、株価の反転上昇の妨げとなっているようだ。

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