Appleは音楽ダウンロード業界において圧倒的市場シェアを維持しており、RealNetworksは今回、iPodとの互換性を実現するソフトをリリースすることにより、自社のオンラインストアへの来客が増えることを期待している。
危険な領域?RealNetworksはこれまでも、今回と同様の方法でライバル企業を侮辱するような行動を取ってきた。例えば、同社が2002年に発売したストリーミング配信用サーバソフト「Helix」には、それまでMicrosoft製サーバソフトとしか互換性のなかったMicrosoft独自の形式のファイルをストリーミング配信する機能が含まれていた。
またRealNetworksは今年1月、同社製のPCソフトを使って、AppleのiTunesストアで購入した音楽を再生したり、iPodに保存したりする方法を解明したと発表した。
今回新たに発表されたHarmonyソフトに搭載されているMicrosoft製機器との連携機能はかなり露骨なものだ。顧客がRealNetworksのオンラインストアで音楽を購入すると、同ソフトがコンピュータに接続されている携帯機器の種類を特定し、必要に応じてその音楽ファイルをMicrosoftの形式に変換してしまう。Microsoftは多くの企業に同社のWindows Media技術のライセンス供与を行ってきた。
またHarmonyは音楽をiPod対応の形式に自動変換してしまう。しかしRealNetworks の幹部によると、Appleは同社のコピー防止ソフト「FairPlay」のライセンスをどこにも供与していないため、RealNetworksのエンジニアらは同社が扱う音楽をiPodで再生できるようにするために、自社の研究所でFairPlayを再現した独自のコピー防止技術を開発しなければならなかったという。
Harmonyの開発について、RealNetworksは、技術的には「リバース・エンジニアリング」に当たらないと主張したが、同ソフトについては厳密な法的調査が行われる可能性がある。
AppleのiPodに添付されているライセンス契約書には、購入者はソフトの「コピー、逆コンパイル、リバース・エンジニアリング、逆アセンブル、あるいはソースコードを得るための行為」を行ってはならないと書かれている。
Bostonの特許専門の弁護士Bruce Sunsteinによると、互換製品の開発などを目的として行われるリバース・エンジニアリングがどの程度まで許容できるかについては、判事によって見解が分かれているという。
Sunsteinは「(この点については)まだ法が整備されていない」とした上で、「仮にAppleが攻撃的態度に出ようとすれば、法廷闘争が行なわれる可能性もある」と述べた。
一方、RealNetworksは、著作権で保護されたAppleのいかなるソフトコードも違法に使用していない、と強固に主張してきた。
RealNetworksのWolpertは、「われわれは、今回の行動を行うために必要なライセンスや権利を有していると認識している。さもなければそのような行動は取らなかった」と語った。
アナリストらは今回のHarmonyのリリースについて、消費者は今後、RealNetworksのオンラインストアなどで音楽を購入しても、その音楽を永久に1つのブランドのプレイヤーで聴かなければならないのかと心配する必要がなくなった点で、消費者にとって大きな前進だ、と評価した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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