電子メールのセキュリティ対策企業MessageLabsが、ヨーロッパの企業を対象に行った調査の結果を発表した。それによると、調査対象となった企業のうちの4分の3が、今後ウイルスがもっと危険な存在になるだろうと考えており、3分の2が攻撃の発生頻度が今後上がるだろうと考えているという。
MessageLabsの情報セキュリティアナリストNatasha Staleyは6日(現地時間)、ここ数年間でウイルスの活動が非常に活発化してきたことを考えれば、このような憂慮すべき傾向は今後も続くだろうと述べる。
ウイルス対策業界にとっての最大関心事は、悪意のあるソフトウェアから身を守るための対策作業の進捗が、ウイルス作成者側の進捗と比べて遅れをとっていると多くの企業が考えている事実だろう。
FBIが実施した別の調査によれば、99%の企業がウイルス対策を講じているという。それにも関わらず、2003年には、82%の企業がウイルスによる攻撃を受け、2000億ドル以上の被害が出た。
この点を考慮すれば、MessageLabsが行った今回の調査で、従来のウイルス対策ソフトを信用していると答えた回答者がわずか35%で、これらのソフトによって提供される保護対策では安心できないとした回答者が43%にものぼったことは別段驚くに値しない。また、回答者の約4分の1(22%)が、ウイルスをとりまく状況が今も刻々と変化していることから、従来のアンチウイルス製品が10年もたたないうちに時代遅れになると考えている。
問題の大部分は、「いけにえの子羊」的なアプローチを思わせる、いわゆるパターンファイルベースのウイルス対策技術にあると、MessageLabsのStaleyは述べる。つまり、みんなを保護するには誰かが犠牲になってウイルスに感染する必要があるというわけだ。ここでいうパターンとは、ウイルスやトロイの木馬で見られる短いコードの断片や傾向のことで、それぞれのプログラムに固有なものだ。アンチウイルスソフトウェアは、そのような特定の識別項目を利用し、良いプログラムと悪質なプログラムを区別できる。
「この調査結果は、従来のアンチウイルスソリューションに対する顧客の信用が揺らぎ始めていることを示している。あらゆる手を打っているにもかかわらず、攻撃されてしまう企業にとって、この状況は非常に腹立たしいものだ」(Staley)
問題の核心は、ワームがあまりにも急速に広まってしまうことにある。急速に広まり、「15分間の名声」を欲しいままにする「Warhol」ワームは、多くの場合、パッチが当てられたり、アンチウイルスソリューションデータベースのパターンファイルが更新される前に、甚大な被害を及ぼしてしまう。
多くの場合、パターンファイルを更新したり、フィックスを適用する作業には、6〜7時間、場合によっては1日中かかることもある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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