日立製作所と日本油脂は、電解液を使用しない固体電解質リチウム二次電池用の新しい固体高分子電解質を共同開発した。日立が6月29日に明らかにしたもの。この固体高分子電解質は、従来の固体電解質に比べ3倍以上のリチウムイオン伝導度を達成したという。
リチウム二次電池は、各種二次電池のなかでエネルギー密度と出力が最も高く、携帯電話やノートPCなどに利用されている。ただし、電解液として可燃性の有機溶媒を用いるので、短絡や過充電などを想定した安全対策が欠かせない。安全性向上のため、イオン伝導性ポリマーやセラミックスを用いた固体高分子電解質の開発が進められている。しかし、固体高分子電解質材料としてこれまで最高のイオン伝導度を持つポリエチレンオキシド系ポリマーの場合、陰イオンのイオン伝導がリチウムイオンの動きを阻害するため、出力電力に影響を与える実効的なリチウムイオンの伝導度は低い値にとどまっているという。
両社が開発した固体高分子電解質はポリエチレングリコールホウ酸エステル化合物であり、陰イオンを固定する機能を持ったホウ素原子を、ポリエチレンオキシド系ポリマーの運動を阻害しないホウ酸エステル化合物の形で導入した構造となっている。日立がこれまで研究してきたカーボネート系ポリマーに比べ、室温(20℃)で3倍以上の実効的なリチウムイオン伝導度を達成できた。
今後、日立はこの固体高分子電解質を用いて低コスト化やリチウムイオン伝導度向上による小型高出力化に取り組み、電解液を使用しない安全なリチウム二次電池の実用化を目指す。
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