検索エンジン戦争とプライバシー

 パーソナライゼーション機能に対する見方は、人によって異なる。この機能が、検索の世界に新時代が到来したことを告げるものであり、おかげで広大なウェブを迅速に渡り歩くことが可能になると思っている人もいれば、プライバシー侵害につながる不吉な前兆だという人もいる。

 検索結果のパーソナライゼーションが、検索ビジネス市場で最も将来性のある武器の1つとして浮上したことは疑いのない事実だ。しかし、利用者は質の高い検索結果と引き換えに、ますます多くの個人情報の入力を求められることになるのだろうか。

 価値の高いコンテンツや無料電子メール、コンテストなどへのアクセスを許可するのと引き換えに、利用者に個人情報の入力を求めるというのが、今や当たり前になっている。利用者は、こうした要求に対して、躊躇なく個人情報を入力している。

 インターネットでは、コンテンツやサービスを手にするために個人情報を差し出すことが当然の代償となっているといっても過言ではない。これまでのサイト運営では、訪問者に敬遠されるので個人情報の提供を求めないというのが鉄則だったが、今ではパーソナライゼーションという現実的な利益が優先されるようになっている。

 パーソナライゼーションに必要な利用者の嗜好や年齢といった情報は、現在既に企業が利用者から収集している情報と大差ない。このため、YahooやGoogleといった検索大手は、最も基本的な情報を収集すればよい。しかし、「基本的な」情報とはどのようなものだろうか。

 大体の場合は、多くのウェブサイトで無料登録の際に要求される情報と同じで、性別や住所などの情報がこれに当たる。また、最善の結果を提供するために、検索サービスでは利用者の嗜好に関する情報も収集する。これには非常に細かい情報が含まれることもある。例えば、ひいきのスポーツチームや休暇中に旅行したい場所、興味のあるニューストピックなどだ。また、より抽象的な情報が含まれる場合もある。たとえば、激しいビートの電子音楽と、ゆっくりとしたテンポのアコースティックな響きの音楽のどちらが好きか、といった情報だ。

 すべてのインターネットサービスについて言えることだが、検索のパーソナライゼーション機能を安全かつ効果的に使用するには、利用者が常識を働かせる必要がある。どのような利点があろうと、決して人に教えてはならない個人情報がある。例えば、スポーツウェブサイトで、社会保障番号の入力を求められたら、危ないと思わなければならない。好みのチームの評価を求める質問とは性質がまったく異なるからだ。

 検索のパーソナライゼーション機能を利用者にとって安全なものにするには、検索サービス側の努力も必要だ。検索サービスは、利用者の個人情報を検索結果の質的向上のためだけに利用し、いかなる理由があろうと第三者に漏らしたりしないと確約することで、利用者から常に信頼され続けるようにしなければならない。

 一般に、われわれ消費者は頻繁に利用するサイトに個人情報を提供することに慣れきってしまっているため、個人情報を提供することにさほど危機意識を持っていない。これは何もインターネットの世界に限ったことではない。例えば、Radio Shack(全米にある小型電化製品の量販店)でバッテリーを購入するには、名前、電話番号、郵便番号といった個人情報を答えなければならない。

 検索サービス間の競争が激化し、検索のパーソナライゼーション機能が登場したことで、その将来性と潜在的な落とし穴の両方に注目が集まっている。どの検索サービスが勝者になるにせよ、個人情報の利用は今後も技術革新の最前線であり続けるだろう。利用者が匿名でサービスを利用でき、また検索サービス会社が収集した情報を適切に保護する限り、個人情報を明かすことがプライバシーの侵害になることはないはずだ。

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