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ネットの優等生はケータイが苦手?

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 SFCの学生が他大学の学生とコミュニケーションを取る時に、躊躇したり、上手くいかない事があるという。そのネックになっているのは携帯電話、ケータイだ。パソコンとインターネットを使ったコミュニケーションは日常茶飯事となっているにも関わらず、ケータイというツールと、それを使ったコミュニケーションには不慣れな面があるようだ。

 例えばケータイのパケット定額制の料金についての印象を聞いてみると、SFCの学生の間では「高い」という反応で占められていた。使うかどうかという質問には「元が取れる程使えないのではないか」と、4000円程度の価格設定になっている定額料にあまり魅力を感じていない様子がうかがえる。

 一方同じ慶應義塾大学の三田キャンパスで聞くと、定額制の料金をただただ4000円と聞いた時にはやはり「高い」という感想を持っていたのだが、ケータイの料金明細が頭をよぎった途端に「そちらの方が得かも知れない」「むしろ安いのではないか」という反応が返ってくるようになる。パケット代の大半はメール代だといい、話が盛り上がると1日の深夜までに200通のメールを送る事もあるそうだ。SFCの学生のケータイの中では絶対あり得ない量だ。

 ケータイに弱いSFCの学生の姿はまだまだ目に付く。他大学・キャンパスの学生は相手がドコモユーザーだと確認すると、赤外線で電話番号とメールアドレスを交換しようとする。あるいは画面に自分の番号やメールアドレスを含んだQRコードを表示させて、相手に読み取ってもらうという方法で渡すボーダフォンユーザーもいた。そんな見慣れないケータイ番号の交換風景をよそに、パソコンからメールを入れようとしたり、紙切れに番号とアドレスを書いて渡そうとしたりするSFCの学生。

 赤外線で転送されてくるアドレス帳のデータには顔写真も含まれていて、受信したまま登録するだけで電話がかかってくれば顔が表示されるようになる。パソコンで番号やメールアドレスを教えたり、ましてや紙切れに書いて交換したりするのでは顔写真など出す事などできない。

 番号やメールアドレスの交換一つ取ってみても、赤外線やQRコードなどの備わっている機能を活用して、ケータイを中心に円滑にコミュニケーションを取っている他の学生と、使いこなせていないSFCの学生の差が見えてきてしまう。電話帳交換は一度済ませれば良い話だが、日常的なコミュニケーションではそういうわけにもいかない。

 SFCの学生は返事を急がない話や長くなる内容などは電子メールで、すぐに返事が欲しい時はメッセンジャーでというように、話の内容、分量、レスポンスのスピードによってコミュニケーション手段を上手く使い分けている。しかしその鮮やかとも言えるメディア選択が、ケータイメールの上ではいささか邪魔をしているようだ。

 ケータイメールは、メールと名が付いているように電子メールの形態を取っているものの、レスポンスに期待されている速度はメールとメッセンジャーの間にある。返事を求めない連絡や答えを用意してから返事をする内容から、メッセンジャーのような密にやりとりする会話まで、全て同じケータイメールで行われる。そんなとき、上手くメディアを使い分けているSFCの学生にとっては、ツールが同じという点で、レスポンスに求められるスピードをコンテクストから読み切れない事がある。

 それに加えて、キーボードのタッチタイプに長けている分、ケータイのテンキーで文字を打つのは予想以上に面倒。それらの原因から、結果的に返事が遅れることになる。すると「忙しいのか?」と心配されたり「早く返事が欲しい」と催促されたりする。メッセンジャーでは相手のステイタスを確認してからレスポンスを求めるやりとりを始めていた事を考えると、そのような前提がないケータイでのコミュニケーションに対してアレルギーを持ち始めてしまう人もいる。

 そんなSFCの学生が変わるのは就職活動を始める時だ。それまで昼間キャンパスにいる時も常に自分のノートパソコンでオンラインという生活をしていたが、就職活動を始めると昼間手元にあるコミュニケーションツールはメッセンジャーではなくケータイだけになる。夜家に帰ってはじめてパソコンに触るという生活。これはすなわち一般的な大学生と同じコミュニケーション形態になるわけだ。

 インターネットに接続すれば無料で使えるメッセンジャーやパソコンのメール、メーリングリストの普及で、お金がかかる上、入力が面倒なケータイでのコミュニケーションを敬遠しがちになっているSFCの学生。一方パソコンが手元にある事が少なく、お金がかかったとしても事実上唯一の日常的なコミュニケーション手段としてケータイを使っている他の大学生。

 この間に生じているミスコミュニケーションは、パソコンをベースにITのリテラシを蓄積している社会とケータイを使いこなしている世代との間に起きるかも知れないジェネレーションギャップの前兆を表していると、いえるかもしれない。

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