Microsoftの顧客にとって、最新の製品が必ずしも最高とは限らない。
Microsoftが多くの自社製品のサポート期間を延長した背景には、同社の発売スケジュールについていくためだけに、数年ごとに主要なソフトウェアコンポーネントのアップデートを行なわなければならないことに対する顧客の不満が膨らみつつある、という新たな現実がある。
「(Microsoftが)サポート期間を延長したことにより、もはや急いでアプリケーションのアップグレードを行う必要はない」と語るのは、ジョージア州コロンバスに拠点を置くクレジットカード取引処理サービス大手TSYSの技術担当ディレクターTim Kellyだ。
Microsoftは先週、全てのビジネスおよびデベロッパー向けの製品のサポート期間を現在の7年から10年に延長すると発表した。この新ポリシーは6月1日から実施され、最低5年間の「メインストリーム」サポートや偶発的トラブルに対する無料サポートを含む基本サポート、深刻な問題を修正するためにリリースされる「ホットフィックス」と呼ばれる修正パッチの提供が保証されている。
主要製品のリリース間隔が5年以上開いた場合には、メインストリームサポートは延長され、同製品の次世代版のリリース後、最低2年間は旧製品のサポートが継続されるようになる。よってWindows XPについても、Windowsの次期バージョンであるLonghornがリリースされた後2年間はサポートが行われることになる。
メインストリームサポートの期間が満了すると、今度は5年間の「延長」サポートを提供する。この延長サポートはメインストリームサポートに比べサポートレベルは低く、有料のホットフィックスや時間単位のサポートサービスといったオプションが含まれている。
今回のサポート延長は、依然として多くの人が利用している旧製品のサポート体制を常に整えておくべきだという意見が同社の顧客の間で高まっている現実を反映している。Microsoftは、多くの企業が使い続けているWindows 98のサポート打ち切りを決定したが、大きな非難を浴び、今年はじめに打ち切りを撤回した。
同社は、欧州企業を中心に、依然として広く利用されているWindows NT 4.0のユーザーからも同様の批判を浴びた。
調査会社GartnerのアナリストMike Silverは「新しいソフトに素早く乗り換えられるユーザーばかりではない。中には1つのOSを標準とし、時々(次期版への更新を)省略したいと考える企業だってある」と述べる。
Microsoft自身もこの問題を認識していると述べている。Microsoftのサービス戦略担当シニアディレクターPeter Houstonは、「ユーザーはシステムをできるだけ長く使用し続けたいと考えているため、7年では短いと考えている」と述べ、さらに「今日の顧客の製品の使用実態を考慮すると、(製品の)ライフサイクルとしては10年の方がはるかに現実的だ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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