Sun Microsystemsは米国時間6月1日に、RFID(Radio Frequency Identification)市場向けのソフトウェアパッケージを発表する予定だ。
SunのJavaプログラミングアーキテクチャとJiniネットワーク技術をベースにしたこのソフトウェアは、RFIDシステム経由で収集したデータを、ほかのソフトウェアアプリケーションに容易に統合できるようにするもの。RFIDツールが生成する膨大な情報の管理は、現在無線タグシステムを構築するうえで、最も難しい課題とされている。
「Sun Java System RFID Software」と名付けられたこの製品は、イベントマネージャーと情報サーバという、2つの要素で構成されている。前者はRFIDタグから集まった情報を処理したり、ユーザーが必要とするデータを検出したりする役割を担う。一方後者は、RFID技術を使って集めた情報を取り込んで保存し、SCM(Supply Chain Management)システムなど他のアプリケーションで利用できるようにするもの。
SunのRFIDパッケージには、Jiniのネットワーキングツールが含まれており、ネットワーク接続時には自動的に検出され、データが送られるようになっているが、これはRFID技術を利用する倉庫のような環境で役に立つかもしれない。つまり、例えばフォークリフトでRFID読み取り機を弾いてしまった場合でも、システムがただちにそれを認識して管理者に通知するので、出荷や在庫を追跡できなくなるという問題も起こらない。
Java System RFID Softwareはいわゆるミドルウェアに分類されるもので、さまざまな無線タグ用機器とソフトウェアを円滑に連動させるのに役立つ。Sunの先端開発グループでディレクターを務めるJuan Carlos Sotoによると、このパッケージは、SunがRFIDに関する社内の研究や顧客との共同実験を行いながら開発したツールをベースにしているという。
SunのRFIDミドルウェアの初期バージョンは、同社のSolarisオペレーティングシステム(OS)上で稼働するもので、2004年夏に出荷が予定されており、またLinux向けのバージョンは秋に登場する。
この統合アプリケーションパッケージは、Sun社内ではすでにしばらく利用されてきているが、同社が活況を呈するRFID市場に向けて製品をするのはこれが初めてとなる。
この製品をリリースするまで、同社はRFIDソフトウェアやコンサルティング市場で調査を進め、Wal-Martや米国防省を含む数多くの組織に対して同技術のパイロットプログラムに参加するよう依頼していた。
同社は、ここ1カ月の間に、このミドルウェアパッケージ以外にも、Capgeminiと提携してRFIDサービスを展開することや、ダラスに無線タグシステムの試験センターを設立することを発表している。
Forrester Researchのアナリストらは、先ごろ発表したレポートのなかで、SunにはRFID分野のリーダーになる素質があると述べているが、同時に今後はライバル各社や無線タグ専門の新興企業との厳しい競争に直面するだろうと付け加えている。Manhattan AssociatesやOATSystemsなどの専門企業が、大企業よりも先に新製品を市場に出すことも多い。
ForresterのアナリストSharyn Leaverは、同レポートのなかで、拡張性のあるインフラ用ソフトウェアを扱った経験があることから、どの大手ベンダーにもRFID市場で成功する可能性があると述べる一方で、 RFID技術の導入義務付けに対応しようと準備を急ぐエンドユーザーの要求にあわせて、Sunを含むベンダ各社が素速く製品を市場に投入できるかについて疑問を投げかけている。
Wal-Martは、同社の納入業者上位100社に対して、2005月1月1日までに特定の配送センターや店舗に納入する製品に無線タグを貼付するよう求めている。SunのSotoは、Wal-Martやドイツの小売業者Metro Groupなどの企業からの圧力が、少なくともここ1年間のRFID導入のスピードを加速させていると説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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