また、コンピュータの処理能力の大半はコンピュータを保護するための仕組みに費やされることになるだろう。例えば、(バグを取り除いたり、環境の変化に適応したりする)セルフヒーリングソフトウェアや、コンピュータウイルスに対する極めて強力な抗体に使うことなどが考えられる。「ソーシャルエンジニアリング」攻撃(例えば、あなたの上司を名乗って添付ファイルを開くように指示するようなメールなど)から身を守るためのソフトウェアも必要になるだろう。
2034年のコンピュータゲームは、現実をシュミレートして対話的に物語が進むような形になり、今日の大半の映画のようなリニアなつくりよりはるかに面白くなるだろう。こうした新しいエンターテイメントで必要となるのは、高解像度のアニメーションによりリアルタイムで描画される人工俳優である。これは比較的簡単に実現できるだろう。しかし、物語を個々のユーザーに合わせて変えるとなると、相当に難しくなる。それが解決すれば、ユーザーインターフェースは、複雑なゲーム操作と単純化された世界が典型的な現在のコンピュータゲームよりもはるかに広い市場に強力にアピールするものとなるだろう。
完全な人工知能が実現しなくても、コンピュータは代理人としての性格をますます強め、ただじっと座って命令を待つのではなく、主人のオンライン上での利益を保護するために働くようになるだろう。コンピュータとの対話方法もより豊かになり、身振り、物理インターフェース、マルチデバイスインターフェース、さらには長年待ち望まれてきた高解像度フラットスクリーンなどによる対話が実現されるだろう。
もちろん、パソコンはわれわれがオンラインで見たり実行したりしたことをすべて記憶するようになる。人間が一生のうちで起きている時間をすべてHDTV録画しても、ハードディスク全容量の2%にも満たないのだから。
こうした将来の技術進歩、およびそれらの技術と人間の関わりについて語るのは、私などよりSF作家のほうがはるかにうまい。しかし、これだけは確かだ。昔の紙テープから、現在のウェブ、そして将来実現されるであろうメガピクセル級の解像度を持つディスプレイへの移行は、ユーザーインターフェース革命の最初の小さな一歩に過ぎない。人間のニーズを常に考え、向上するコンピュータ処理能力を正しく利用すれば、未来のコンピュータはすばらしく刺激的なものになるだろう。
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