普及が先か、アプリケーションが先か--Linux、デスクトップ浸透への課題 - (page 2)

David Becker(CNET News.com)2004年05月24日 10時20分

 閉ざされつつある「機会の窓」

 デスクトップLinuxを提供するLindowsの最高経営責任者(CEO)Michael Robertsonによると、アプリケーションメーカー各社がLinux市場に参入できるタイムリミットは、彼らが考えている以上に迫っているという。

 Robertsonは「これは一部のアプリケーションメーカーにとっては、まさに持久戦だ。彼らはユーザーの数が増えるのををじっと見守っているが、それほど長くは待っていられない」と述べ、さらに「大手ソフトベンダーは、自社製品をLinuxに対応させるか、あるいはLinuxアプリケーションに対する需要が膨らむのを待つか、のどちらかを選択できる。そしてすでにこの動きが見え始めている。より多くのLinuxアプリケーションが十分使い物になるレベルに近づきつつある」と語った。

 PerensもRobertsonの意見に同意する。Perensは「自社製アプリケーションの本当に優れたLinux版を作らなければ、この市場を放棄したも同然だ。なぜなら、他の誰かが強力なオープンソースアプリケーションを開発すると考えられるからだ」と述べ、さらに「開発しようと思う頃には、すでに手遅れになっている」と語った。

 また過去にMicrosoftから大規模な競争を仕掛けられながら、それをかわしてきたAdobeやIntuitといった大手ソフトメーカーにとっては、Linuxの採用は、Microsoftが再び彼らの市場への参入を決断した場合の保険にもなる。

 「Adobeが抱える市場には現ユーザーと潜在的ユーザーが併存する。Microsoftはその市場を欲しがっており、十分な時間があれば奪い去るだろう。Windowsプラットフォーム上でアプリケーション開発を行う場合、その点が脅威となる。各ソフトメーカーがMicrosoftの攻撃を受けても生き残れる唯一の望みは、オープンソースコミュニティと協力して、他のプラットフォームへも移植可能なアプリケーション環境を開発し、Windowsではなくその環境向けにアプリケーションを開発することだ」(Perens)

 「十分使い物になる」だけでは・・・

 たしかに、OpenOffice.orgをはじめとするLinuxアプリケーションは「十分使い物になる」レベルに達しているが、アナリストらは、企業がLinuxに移行するために資金や労力を費やしたくなるほど高い完成度には達していないと警告する。調査会社IDCのアナリスト、Al Gillenは「企業にLinuxデスクトップを導入させるには、Linuxデスクトップの真のメリットを示す必要がある」と語る。「プラットフォームを変更しても何の見返りもないなら、そもそも変更などしないだろう」(Gillen)

 「(LinuxアプリがWindowsアプリと)同等では不十分」と語るのは、調査会社Forrester Researchのアナリスト、Ted Schadlerだ。「あるLinuxアプリがWindowsアプリとほぼ同等の性能の備えているとしても、それは大した問題ではなく、それによりLinuxアプリに市場の注目が集まる可能性は低い。(Linuxを取り巻く環境は)パソコンが登場して間もない頃と状況が良く似ている。当時は、どんな価値があるかを自分でゼロから考えなければならなかった」(Schadler)

 しかしRobertsonによると、Linuxの発展が最も見込める一部の地域では、「十分使い物になる」ことは別の意味合いを持つという。ラテンアメリカやアジアなど一部の新興市場ではWindowsを使用した経験がないユーザーの間で、Linuxの導入が進んでいる。よって、それらの地域の人々は、あるアプリが本来どのような画面表示で、どのように動作すべきかという先入観がない。「新興市場の人々はPhotoshopを利用するだけの経済的余裕がなかったため、彼らに同ソフトを好むバイアスはない」(Robertson)

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