Wi-Fiサービスの草分けであるCometa Networksが、米国時間19日に、業務の停止を発表する予定だ。全米にサービスを拡大するために必要な資金を追加調達することに失敗したことが原因だという。
Cometaの複数の関係者は、同社が今後数週間以内に業務を停止することを認めている。
「われわれの卸売りモデルの実績は証明済みであると感じていたので、撤退は言うまでもなく非常に残念だ」とCometaでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるKent Hellebustは述べた。「しかし、当社に投資しても十分な利益が得られないというのが、投資界が下した結論だ」(Hellebust)
Cometaはサンフランシスコに本拠地を置く新興企業で、2002年後半にIBMやIntel、AT&Tといった大手企業の支援を受けて設立された。同社は、2万カ所のホットスポットを持つネットワークを構築する計画で、2005年までに1万5000カ所を稼動させると発表していた。しかし、Cometaは、十分な数のホットスポットを設置したり、パートナー企業と大きな契約を成立させたりすることが出来ず、最も重要なホットスポット設置箇所の獲得においてもライバル企業に遅れをとるようになった。
ホットスポットとは、ブロードバンドのインターネット接続といった情報源に個人がワイヤレスでアクセスできるよう、Wi-Fi機器を使って設置された公共のネットワークのことだ。ホットスポットは当初、地域社会にインターネットへの無料接続を提供することを目的として、草の根レベルの活動によって無計画に設置された。オレゴン州ポートランド、カリフォルニア州サンノゼなどの複数の都市でもこの活動は展開されたが、最近では、安全なネットワークを設置してそのサービスに対し課金する企業の数が増えてきた。
Cometaは9月までに800のホットスポットを設置する計画だった。一方で、WayportやT-Mobile USAなどの主要なライバルは、Cometaがすでに設置したホットスポットの少なくとも3倍もの数のホットスポットを所有しており、積極的にパートナー企業とローミングサービスの契約を締結して、ネットワークの提供範囲を拡大してきた。
「われわれは出来るだけ早く利用規模を拡大しなければならない」とCometaの最高経営責任者(CEO)のGary Weisは最近のインタビューで語っていた。この業界の事業者は、アクセスポイントが多ければ多いほどネットワーク上のトラフィック量が増大するため、携帯電話会社やケーブル会社などから見ても、提携先としての魅力を増すことになる。
リサーチ会社Synergy Research Groupによると、Wi-Fi対応のコンシューマーデバイスの昨年の出荷台数は1500万台で、2002年と比較して95%増加した。Wi-Fi対応機器の販売台数が増えれば、ホットスポットサービスを求めるユーザーの数も増えると考えられるが、消費者がネットワーク接続に代金を支払うようになるには時間がかかっている。
Hellebustは、同社の業績について、シアトルでは利益を出していたと述べる。しかし、米国全土をカバーするネットワークを構築する資金無くしては、事業を継続することはできなかったようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス