複数の写真に、車の窓ごしに撮影者をにらみつけるドライバーが写っている。ドライバーが中指をカメラに向けて突き立てている写真もある。最後の一枚には、走り去る車のナンバープレートが収められている。
数週間前までは、こういった写真がCarpoolCheats.orgというウェブサイトのトップページを飾っていた。カリフォルニア州サンノゼの通勤者2人組が、同乗者がいないにも関わらずカープール専用レーン(自動車相乗り通勤者だけが使用できる高速道路の車線)を使用するドライバーに不満を感じて、サイトに違反者の写真を掲載した。
高速道路での戒め行為としては、おとなしいものだ。写真を撮られたドライバーへの法的な制裁はなく、州のハイウェイパトロール警官もこのサイトの存在を知っていたところで、情報を使うことは出来ない。しかし、このサイトが人々の怨恨を買い、サイト制作者Sean Mcintyreは一時的にサイトを閉鎖せざるを得なくなった。
今、 このサイトにアクセスすると、トップページに「CarpoolCheats.orgのサイトは一時休止します。特定の個人や、(永久にではないが)現時点で特定できない複数の匿名の人から、脅迫的な働きかけがあったためです」と記載されている。
デジタルカメラが身近になり、インターネットへのブロードバンド接続や写真Blog、個人ウェブページによって誰にでも出版の機会が提供されるようになった。Mcintyreのサイトやこれに類似するほかのサイトは、こうした環境が将来、社会にもたらすであろう威力と危険性の両方を示唆している。
一般市民の一挙一動がビデオカメラやその場に居合わせただけの人のカメラに収められる「監視社会」が形成されることを危惧する人も多い。実際に、一部のジムや法廷などの施設では、プライバシー保護のため、カメラ付携帯電話の持ちこみを禁止し始めた。
一方、こうした技術の浸透を、不正をなくす手段と見る人もいる。例えば、1991年のロサンゼルス警察官によるRodney King殴打事件の映像は警察に改革を促したし、最近のイラク刑務所内で撮影された虐待の写真は、米国の政策立案者たちに衝撃を与え、彼らの反省を促しているのというのだ。
Mcintyreは、このような高尚な志をもってサイトを開設したわけではない。しかし、このサイトは休止するまで、賛否両論の議論を巻き起こした。
Mcintyreとパートナーがこのサイトを開設したきっかけは、昨年のある朝、2人がカープール専用レーンを走行しているときに、後ろを走る車のドライバーから煽られてパッシングされるという嫌がらせを受けたことだった。彼らは車を片側に寄せ、後ろの車に追い越しをさせた際に、その車に同乗者がいないのを見た。
「僕らは顔を見合わせて、『誰かがサイトを開いて、こういうやつの写真を掲載しなければならない』と言った」とMcintyreはいう。「そして、僕らは2人ともウェブが得意で、自分たちで簡単にできることに気付いたんだ」(Mcintyre)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス