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値下げを科学する--注目を集める小売売上管理ソフト

Alorie Gilbert(CNET News.com)2004年04月28日 21時38分
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 バーゲンセールが嫌いな人はいない。しかし、カナダの衣料品小売チェーン、Northern Group Retailの最高財務責任者(CFO)、Michael Stanekだけは例外だ。

 Northern Group Retailは数年前、続けざまに在庫一掃セールを行ったために、その週の利益が全て吹き飛び、巨額の赤字を抱える羽目になったことがある。この時の経験から、Stanekはショックを受けた。

 多くの小売チェーン--とりわけ、気まぐれなアパレル商品を扱うチェーン店は、どの商品を、いつ、どの程度値下げするかという難しい判断を下す際に、商品アナリストの勘に大きく頼っていたが、Northern Groupも例外ではなかった。

 Stanekは、重要なスタッフ会議で対応策を協議した時の様子について、「会議の出席者は皆パニック状態だった」と述べ、さらに「どんなに悪くても、20万ドルも損失を出すことはめったにないだろう」と語った。

 この3年前のつらい経験をきっかけに、Northern Groupの幹部らはアナリストの直感に替えて、確かな分析を行うためのハイテク技術を探し始めた。そして彼らは、小売業の値下げを専門とする新興のソフトウェアメーカーProfitLogicを見つけ出し、同社の最初の顧客となった。

 Northern Groupは、およそ300店舗から集めた3年分の詳細な販売実績データと現在の在庫情報を、ProfitLogicのプログラムに入力した。同ソフトは16人の博士号取得者がチームをつくり開発したアルゴリズムで、利益率の低下を最小限に抑えつつ、足の遅い商品を排除する最善の方法を提案するものだ。

 それ以来、Northern Groupは同プログラムを使って値下げの決断を行ってきた。その結果、同社の粗利は2%増加し、年間売上は2億2500万カナダドル(1億6600万ドル)に達した。これは小売業界の標準からすると、かなり立派な結果といえる。Stanekは、ProfitLogicが同社を黒字転換させる上で重要な役割を果たし、また将来米国市場に参入するという目標の達成に向けた同社の取り組みを後押ししてくれていると賞賛した。

 ProfitLogicは、Northern Groupの成功をきっかけに顧客企業を次々と増やしていった。同社の顧客リストには、American Eagle Outfitters、AnnTaylor、Bloomingdale's、Gap、Home Depot、JCPenney、Marshall Field'sなど、そうそうたる名前が並ぶ。ProfitLogicによると、同社の昨年の売上は2500万ドルを超え、今年は倍増を見込んでいるという。

 ProfitLogicは、小規模ながら急成長を遂げているソフトウェアのニッチ市場で一躍主力プレーヤーに躍り出た感があるが、プレーヤーは同社だけではない。

 この分野で活動する他のソフトメーカーとしては、カリフォルニア州サンカルロスのDemandTec、アリゾナ州スコッツデールのKhiMetricsなどが挙げられる。KhiMetricsは食料品チェーンに特化し、Safeway、Albertsons、PetSmartなどを顧客に抱える。またドラッグストアや専門小売店を得意とするDemandTecの顧客にはRadioShackやLongs Drug Storesなどが名を連ねている。

 IT関連の調査会社AMR Researchは、2002年に7500万ドルの総売上を記録した、いわゆる小売売上管理ソフト市場の規模が、来年には6倍増の5億ドルまで拡大すると予測している。

 小売業界の専門家によると、同市場の好調さについてはいくつかの説明が可能だという。第1の要因は、Wal-Mart Storesの存在で、この野心旺盛な巨大チェーンが業界内の競争を激化させているため、各小売業者はさらなる値引きを余儀なくされている。

 「Wal-Martは価格設定が非常に上手だ」と語るのは、経営コンサルティング会社Bain & Coのマネジャー、Sam Isrealit。「そのため、Wal-Martの競合企業も価格設定の腕を磨かざるをえない」(Isrealit)

 第2の要因は、個人消費の低迷の原因となった世界的不況だ。業界調査グループのSTS Market Researchによると、国内衣料品チェーン店の売上に占める値引き商品の割合は、驚くことに78%に上るという。

 第3の要因は、コンピューティング/ストレージ能力が格安で入手できるようになったことにより、新しいアプリケーションの開発が可能になった点だ。今や小売業者は、膨大な量の売上データの収集/分析が可能となった。彼らにとって、売上データは販売促進につながる貴重な情報の宝庫といえる。

 「何百万もの販売記録を調べるのに、Crayのスーパーコンピュータは必要ない」と語るのは、DemandTecのCFO、Mark Culhane。「コンピューティング能力の進歩により、この種の計算は15年前には存在しなかった価格および速度で実行可能となった」(Culhane)

 ProfitLogicの社長兼共同設立者のScott Friendによると、多くの小売業者にとって、こうしたシステムは比較的手が届きやすく、しかも導入成果を得やすいものだという。これは、同社のシステムが設定に4カ月もかからないためだと、同氏は説明する。またこの種のシステムのソフトウェアライセンス料は通常200万ドル程度で、全国チェーンを展開する小売業者にとっては微々たる金額でしかない。

 Friendによると、同社のプログラムのもう1つのセールスポイントは、初期設定後、他のビジネスシステムとのデータ交換を必要としない点で、大半のソフトウェアを実装する場合のような難しさがないという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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